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出張こぼれ話

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韓国ではおじさん(またはお兄さん)の事をアジシといいます。
おねえさんは、アガシといいます。

今日、帰りの便はコリアンエア(KAL)でした。
KALのCAは皆さん明るくて、スタイル抜群で綺麗な人達ばかりです。
そして、知的であります。
地上職員の女性も同じくらいの華やかさを持っています。

それに比べ、どこぞの航空会社のCAは昔は高嶺の花といった風情の方々が
多かったのに今や急ごしらえのパートCAと絶対やめない気満々のおばちゃん
CAの混成部隊であり、日本のおじさんも韓国のアジシも出来ればKALに乗りたい
と願っているのであります。

そんなKALでソウルから札幌までの3時間半(1時間遅れたのです)、
楽しいひと時を過ごしたおじさんとアジシの一団は軽い足取りで手荷物受け
取り所へと足を運ばせたのでした。

札幌(千歳)空港の国際線は新しく出来たばかりで、荷物が回るベルトコンベア
も最新のものが導入されていました。
楕円形に回るコンベアの上に、その真ん中から別のコンベアで運ばれてきた
荷物がストンストンと落ちて、等間隔に並んでいきます。

KAL地上職員のアガシがちょっと大きいゴルフバックだけを選んでコンベアから
おろしていました。
華奢で細いそのアガシは大きなゴルフバックを持ち上げるたびによろよろと
よろめくのです。その色っぽいこと。(^_^;)

そんな時、日本のおじさんはただそれをボーっと見ているだけですが、韓国の
アジシは違います。
5〜6人のアジシがそのアガシを手伝って一緒に楽しい汗を流しておりました。

まぁ、なんてフェミニンなのでしょう。

日本のおじさん達はやってあげたいのは山々なのですが、はずかしくってそれが
出来ないのです。

みんな心の中で、

(ケッ!)

とつぶやいていたことでしょう。

そんな時、どこぞのバックパッカーが預けたのであろうリュックサックの紐が
楕円形のコンベアと、その上についている手荷物投入用コンベアの間に挟まって、
緊急停止してしまったのです。

次の瞬間、KAL地上職員のアガシがそのカモシカの様な長いあしをひらりと跳ね
上げて楕円形のコンベアを乗り越え、その絡まったリュックサックの紐を何とか
はずそうと懸命に引っ張ったりゆすったりしましたが、なかなか外れません。
そのうち、男の地上職員(この人は日本人)がやってきて何とか外れました。

その後、アガシが楕円形コンベアを乗り越えて元の場所に戻ろうとしたとき、
手荷物を待つ群集の中から、10数本の手がにょきにょきと出てきて、アガシの
手や腕や腰を支えて転ばないようにやさしくエスコートしたのです。
良く見るとその手の主は全て韓国アジシ達のものでした。

運悪く近くにいなかった他の韓国アジシが、
「そんなにたくさんの助けがいるもんか!」と野次を飛ばし、
「このアガシがかわいいからつい手をさしのべちゃったんだよ」とすかさず
返す役得アジシのやり取りを聞いて顔を赤らめながら、
「カムサハムニダ」とはにかんで微笑むアガシ。

この光景を遠巻きに見つめるだけの日本のおじさん達。

みんな心の中で、

(ケッ!)

とつぶやいていたことでしょう。

日本のおばさん達を虜にした、韓国ドラマの真髄を見た気がしました。(^_^;)

作品名:出張こぼれ話 作家名:ohmysky