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出張こぼれ話

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最近、メタボ対策で会社にお弁当を持参するようになりました。
お弁当は、手提げ型の小さなバッグに入れて持っていってます。

ある日、いつものようにお弁当をバッグにいれて会社に持って行き、
午前中に予定されていた会議に出席するため、それを自分の机の上に置いたまま、
別棟の会議室へと向かいました。

会議中、私の携帯が、「ブルルッ」と振るえました。
何事かとメールを見てみると、娘からのメールです。

「今、おかぁとばばぁが喧嘩している。おかぁの携帯をばばぁが無くしたと
いって大喧嘩を始めた」

と、そのメールには書いてありました。

(そんなの俺の知った事か。)

そう思ってそのメールは無視し、2時間の長い会議を終えました。

戻ってみると、私の机の周りに人だかりがありました。
何事かと近づいてみると。

「あっ、OHさん、待ってましたよ。」
と事務の女の子がいいました。

「どうかしたの?」

「OHさんの机の方からひよこの鳴き声がするんです。OHさん、ひよこ連れて
来ました?」

「そんなばかな、ひよこなんか、会社に連れて来る訳ないじゃないか。」

「そうですか? おかしいなぁ、さっきまでず〜っと鳴いていたんですよ。」

おかしな事を言うもんだと思っていると、

「ピヨピヨピヨ・・・」

どこからともなくひよこの鳴き声が聞こえます。

「ほらほらほら」
と得意顔の面々。

耳を澄まして、鳴き声のする方を探していくと、それは弁当箱の入ったバッグの
中から確かに聞こえてきます。

海外出張で良くゲテモノを食べては、会社の同僚に自慢していた私は、
いつだったか、中にひよこが入ったゆで卵を食べた事を話したことがありました。

それを知ってか知らずか、同僚たちは「うへー」といって私の弁当箱から身を
遠ざけたのでした。

(そ、そんなはずは・・・)

おそるおそる、カバンの中を覗き込むと、暗がりのなかに赤や緑の明かりが
チカチカと光っているのが見えました。
とりだすと、それは、嫁の携帯電話だったのです。

(なんであいつ、着信音をひよこの鳴き声にしてるんや)

電話に出ると、向こう側から、

「すいません、その携帯を落としたものですが・・・」

という1オクターブ高い嫁のよそ行きの声が聞こえてきたのです。

結局、嫁が自分で私の弁当袋に自分の携帯を誤って入れたまま持たせ、
携帯が無い事に気がついた嫁は、義母のせいにして大喧嘩し、探し回っていた
のでした。

「・・・・・アホかっ!」

そういって電話を切った私を、肩を震わせながら赤い顔をして、笑いを堪え
ながら同僚達は見ていたのでした。

ああ、穴があったら入りたい・・・・
ああ、ANAがあったら乗ってどこかへ飛んで行きたい・・・・

そう思った瞬間でした。(^_^;)

作品名:出張こぼれ話 作家名:ohmysky