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アジアへGo!

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昨日、釜山から成田までの便は3席掛けの窓側に座りました。
普段、どちらかというと通路側に座る事が多いのですが、今回
シートの指定を総務に任せていたので、久々の窓側でした。

(ま、たまには景色も見れていっか。)

そんな軽い気持ちで席に着きました。

「Excuse me.」

機内誌に目を通していた私に誰かが話しかけてきます。

「Yes?」

見ると、身長2mくらいで横幅もかなりあるヨーロッパ系の男性が
隣の席に乗り込んで来たのです。
右と左の肘掛にやっとお尻がおさまる状態で、わき腹の贅肉が
私の方にはみ出して来ています。
当然腕は全てこちらの領土を侵害していました。
左は飛行機の壁、右は肉の壁、前は座席の背ということで、
完全に閉所に閉じ込められた状態となってしまったのです。

おまけに、肘掛の中にはテーブルが収納されているのですが、
取り出すためには、その上にかぶさっている贅肉をよけなければ
なりません。オーディオのチャンネルもその肘掛についているので、
チャンネル変更のたびに、

「Excuse me」

贅肉をよけてもらう必要がありました。

と、まぁ、ここまでは良くある話です。

飛行機が成田空港に到着し、今度は札幌行きの飛行機への
乗り換えです。
時間が無かったので、汗をかきながら国内線まで走りました。

ギリギリでやっと乗り込むと、今度は3人掛けの真ん中の席です。
しかも、両側に身長2mぐらいののっぽの白人と黒人が鎮座していたのです。

この便はいつもはそんなに外国人が乗っていないはずなのにどうして
なんだろうと考えてみると・・・・

(そっか、今週はさっぽろ雪まつりだっけ。)

そうでした。この時期は世界中から物好きな人々が雪の塊を見に
やってくるのでした。

国内線にも関わらず、飛行機の乗客のうち、半分以上が外国人が占めていました。

しかたなく、真ん中の席に座り、右に白い雪山、左に黒い岩山の間に挟まって、
この閉塞感に耐えていました。

しかーし、この人達の国際線の飛行機もやや遅れて到着したらしく、
私と同様にこの2人は息を弾ませ、汗を流していました。

背の高い彼らは、座高も高く、ちょうど私の鼻先に二人のわきの下が当たります。
上着を脱いで、湯気立つトレーナーのわきの下の色が一段階くらい
グラデーションを作っているそのすぐ横に私の鼻先がある訳です。

右を向いても左を見ても、動物園の猛獣の折の中のような、高校の男子更衣室の
ような、台湾の屋台街を歩いたときにかいだ臭豆腐のような、
かぐわしい香りが槍となって私の鼻の穴を突っつくのでした。

飛行機を降りた頃、私の嗅覚が完全に破壊されていたのは言うまでもありません。(ToT)

作品名:アジアへGo! 作家名:ohmysky