小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

アジアへGo!

INDEX|6ページ/84ページ|

次のページ前のページ
 


さて、私はJAL、後輩はチャイナエアと別々の飛行機で同じ目的地、
上海へと向かった訳ですが、私が飛行機に乗り込もうとすると、

「プルルル、プルルル」
携帯電話が鳴りました。

「もしもし?」

「あ、先輩? 僕の飛行機、まだ上海から到着してなくって、
まだ出国審査も受けていないです。」

「それで?」

「上海に着いたら空港で待っていてください。」

「アホか、ホテルの住所持ってるんだから、自分で勝手に行け、
明日朝7時半にロビー集合だかんな!」

「え? えーー! 待ってくださいよ! 先輩! 一人でなんて行けませんよー! 言葉しゃべれないですし・・・・」

「うっせー! じゃーなー!・・・がちゃん」

あーいいきみだ。少しは自分で考えて行動することを覚えさせよう。
そう思って、飛行機に乗り込みました。

上海の空港には午後9:30分ごろ到着しました。
出国審査を済ませ、到着ゲートから出て、後輩の飛行機の到着スケジュールを
電光掲示板で確認しましたが、彼の乗るはずの飛行機が出ていません。

「もしかして、欠航になった?」

そう思いましたが、念のため、空港のインフォメーションで聞くと、
お姉ちゃんのものすごく横柄な返事が返ってきました。(英語ですが。)

私    「この便はどこに到着しますか?」

受付嬢 「ターミナル2へ行け」

私    「ターミナル2はどこですか?」

受付嬢 「2階、まっすぐ行け」

私    「ここから遠いですか?」

受付嬢 「近い」

(最近の若いやつは、どいつもこいつも礼儀を知らん!!)

などと、思いながら、ターミナル2へと向かいました。
その遠いこと。歩いて15分程掛かりました。
無愛想だし遠いし、まったくもう・・・・ぶつぶつ。

とりあえず、彼の飛行機が欠航していない事だけを確認して
さっさとホテルに行こうと思いました。
携帯の電話番号も伝えてあるし、なにかあれば電話くれるでしょう。

ターミナル2の電光掲示板でその飛行機の到着時間を確認すると、
なんと到着が夜中の1時になっていました。
今から、3時間半後です。
この時間だと、さすがに銀行が閉まっています。
そうなるとお金が無くてタクシーに乗れなくなって困るだろうと思うと、
おいそれと置いては行けません。
そのままタクシーに乗り、ホテルの前でタクシーを待たせ、
ホテルで換金して支払うという裏技もありますが、
彼がその機転を利かせることができるとは思えません。

さすがにかわいそうなので、彼が到着するまで待つことにしました。
やれやれ、3時間半もどうやって過ごそう・・・・

到着口のあるフロアーの端に24時間営業のバーガーキングがあったので、
そこに入り、Sサイズのコーラ1つを頼んで、3時間半、ねばりにねばりました。
さすがに、後半は店員にいやな顔をされたので、ハンバーガーを頼んで食べました。
これにて、上海蟹を食べよう作戦、初日は失敗に終わったのです。

お迎えの旅行社の添乗員が白い紙にお客さんの名前を書いて、
到着口に殺到するのに混じって、後輩が出てくるのを待っていました。
不安そうに出て来た彼は、会社から借りた海外対応の携帯電話を四苦八苦しながらいじくり、何とか私に連絡を取ろうとしていました。

「おい、ご苦労さん。」

そう声を掛けると、てっきり置いてきぼりを食ったと思っていた彼が驚いた
様に私の顔を見て、

「せ、せんぱーい。 置いて行かれたかと思いましたよ。
出迎え、ご苦労さんでした。」

安心して、顔色がぱっと明るくなったのでした。

(出迎え、ご苦労さんでした? おめー、俺はおめーのパシリか?

それを言うなら、お出迎え、ありがとうございましただろーが!)
あーあ、外国語覚える前に、日本語をしっかりと身に着けようね。

ホテルに到着したのは午前3時でした。
6時半に起床したので、睡眠時間は3時間程、打合せ前からよれよれです。
でも、頑張って早く仕事を終わらせ、絶対に上海蟹を食いにいくと
心に誓って、客先へ向かうタクシーに乗り込んだのでした。

作品名:アジアへGo! 作家名:ohmysky