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アジアへGo!

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今日、仕事が早く終わったので、商社のチョーさんが、どこかに
車で連れて行ってくれる事になりました。
どこがいいか聞かれたので、一度も行ったことが無い、
北朝鮮との軍事境界線がある板門店に連れて行ってもらうことにしました。

チョーさんは27歳と若く、日本語が堪能です。
高校生の時、銀河鉄道999という日本のアニメにはまり、
日本語を勉強し始めたという変り種です。

前の夜、私たちは一緒に食事をし、お酒を飲みました。
私は早く帰りましたが、商社の3名は夜中の3時まで、
屋台で飲んでいたそうです。

今朝、チョーさんは、まだ酒臭く、顔も赤い状態でした。
私が、「大丈夫ですか?」と聞くと、

「はい、二日酔いではないです、まだ酔っているだけです。」
と陽気に答えました。

8人乗りのワゴン車に運転手のチョーさんと後部座席に私一人、
きままな二人旅です。

普通なら、助手席に座るのですが、事故った時に死亡率が高いのと、
ハンドルが逆なので助手席に座ると、とても違和感があって怖いので後部座席
に座りました。

板門店までの道すがら、チョーさんはバックミラー越しに私とアイコンタクト
を取りながら気さくに話をしてくれます。
流暢な日本語です。

途中で、有名な冷麺のお店があると言うので、そこで昼食を取りました。
お腹もいい具合に満腹になったところで、再出発です。

しばらく走ると、陽気に話しをしていたチョーさんの会話が時折途切れました。

「ん?」

バックミラーに映るチョーさんの瞼は、明らかに閉じられていました。
車はゆっくりと車線をまたいで左側へ曲がっていきます。

「チョ、チョーさん!?」

慌てて私が声を掛けるとバックミラーのチョーさんの瞼はゆっくりと
こじ開けられ、空中を見つめる目が現れました。

「は、はい、大丈夫でーす。」

元気に答えるチョーさんです。

それから、少しの間は、頑張って会話をしている様ですが、
バックミラーの目を注意深く見ていると、また、目が宙をさまよい始め、
瞑想を始め、車は迷走を始めるのです。

「今、北朝鮮が攻めてきたら、私たちの命はありませんね。」
とチョーさん。

(その前に、おめーの居眠り運転で命落とすわ!!)
と心の中で叫びながら、

「そ、そうですね。」とやさしく相槌をうつ小心者の私なのでした。


作品名:アジアへGo! 作家名:ohmysky