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サカヰダ コウジ
サカヰダ コウジ
novelistID. 37830
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ノゾム

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明ける雨がよく降る。

何も言わないノゾムはベッドに目を開けたまま寝ている。
面会に来た僕は少し部屋が寒くなったのでノゾムに薄い毛布をかけた。 

病室は常に23℃に設定されていていて快適なはずである。


ノゾムが二十歳の時から動けなくなり4年。脳は生きていて、見えるし聴こえている。と、

ノゾムの両親は奇跡を信じ治療を続ける。肌は温かく心臓の鼓動は計器の針を揺らす。

しかし5年の間に何も起こらなけれ両親は治療を止めると決めていた。
金銭的な問題ではなく悲しいが諦めようと。両親もいつかの覚悟をして暮らしていたのだ。

そして5年目。

目が動く。
最初は反射的に動いたのかと思ったが右の黒目が看護婦さんを見ていたのだ。

家族も病院の先生も喜んだ。これからですよと。


そしてアイウエオの表を持ち出しコミュニケーションを、ノゾムの気持ちを聞こうとした。


ノゾムはアイウエオの表を見て直ぐ様理解したようだ。
ゆっくりア行から指をずらしていき文字を拾う。

皆が見守るなか両親への最初の叫びは


















であった。



ノゾムは今も生かされている。

作品名:ノゾム 作家名:サカヰダ コウジ