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片羽ひばり
片羽ひばり
novelistID. 37192
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人魚の恋

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恥ずかしい台詞を当然のように言う男。
そんな彼は当然ながら、不実な男である。
端から女であれば声をかける。
可愛ければ男にでも。
そこに恋愛感情は無いと言う。
素敵なものを見たら、声にださずにはいられない。
当然のように彼は言う。

私は毎日泣いていた。
嫌いになれないと泣いた。
大嫌いと罵っても
消えてほしいと叫んでも。
「君の流した涙は、そのまま瞳を溶かしてしまいそうだね。」
彼は瞼に唇を落とす。
涙は決して止まらない。

彼の笑顔が好き。
彼の声が好き。
彼のその嘘くさい台詞が好きで。

大嫌い。

彼が知っているかどうかなんて関係ないと
私は言う。
「人魚姫の恋だわ。」
「素敵だね」
と彼は言う。

泡になって消えるのは

――あなただと思うわ。


****

その口数と引き換えに人の恋まで落ちてきて。
作品名:人魚の恋 作家名:片羽ひばり