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サカヰダ コウジ
サカヰダ コウジ
novelistID. 37830
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ぱっぱ君の羽

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「ふあ~羽が欲しい」とぱっぱ君は思いました。

ぱっぱ君は小学五年生。

つまらない日常ではありませんでしたが授業中窓際の席から見える空を見てふと思う事があるのです。

なんとなく空を飛びたかった。ぱっぱ君は休み時間のドッヂボールは上手くも下手でもありません。

そしてそんなある日学校から帰り、家でランドセルを机に放り投げると眠くなってしまいました。今日の体育は水泳で疲れていたのです。ぱっぱ君は水泳が上手くも下手でもありませんでした。

ベッドに入るとすぐ寝息をたてました。

ぱっぱくん夢を見ました。夢の中には自分にそっくりなピッピ君が現れ羽が欲しいかい?というではありませんか。

ぱっぱ君はあまり深く考えず欲しいと答えました。

ぱっぱ君はそこが夢だと気づいてはいません。

そしてピッピ君は夢が叶ったねと去っていきました。
しかし夢の中のぱっぱ君に羽は生えません。何も変わりませんでした。

お母さんのご飯よ~の声で目を覚ますぱっぱ君。

すると腕が羽に変わっていた。

なにこれ?
羽?

ぱっぱ君は羽が生えるとしたら天使みたいに背中に生えると思っていたのですが腕が羽に変わったのでした。

現実主義者のぱっぱ君は自分の姿に驚きましたがすぐそれを受け入れました。
羽はそれぞれニメートルくらい。

飛べるのかな?
いやそれよりご飯だ。

羽ではドアノブが回せなかったのでヨイショと足を使いました。

お母さんは羽の生えたぱっぱ君を見てビックリしましたが超現実主義のお母さんはすぐそれを受け入れました。

あらぱっぱ君、羽じゃない。それじゃお箸が使えないわね。

晩御飯のハンバーグはお母さんに食べさせてもらったのでした。

お母さんは最初面白がっていましたが明日からぱっぱのご飯をどうしようかしらと現実主的な悩みが浮かんでいました。

ぱっぱ君は夕食後飛んで見る事にしました。

近所の人に見られないように庭に出てバサバサと羽ばたいた。 しかし全く飛べない。

ぱっぱ君はやっぱりダメか~。とため息をつきました。

航空力学上この羽では体重40キロのぱっぱ君が飛ぶのは不可能なのだ。

現実主義のぱっぱ君は飛ぶのを諦め今後この羽でどう生活しようか考えた。

トイレでお尻が拭けないな~
ランドセルはしょえないし鉛筆も持てないぞ。
自分で服も着れないな~


でも今日はとりあえず寝ようとぱっぱ君はベッドに入り折り畳んだ羽で体を包みました。


翌日から羽で生活するようになりました。

世間はたいそう驚きましたがぱっぱ君は冷静でした。
テレビや雑誌、CNNやアルジャジーラも取材に来ました。

有名人から逢いたいとオファーが殺到。CMや映画化の話も。

ぱっぱ君は飛べない羽で巨万の富を手にいれたのです。


Newsweekの取材でぱっぱ君は飛べない羽と分かり絶望しませんでしたかと記者に問れました。

ぱっぱ君は自分の本当の気持ちが分かりませんでした。

「みんなの腕でも飛べない。でもぼくは今飛んでるみたいだ。」

ぱっぱ君は悲しそうに笑って答えました。


記者はまだ10歳の少年を見つめなんとも言えない気持ちになりました。


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作品名:ぱっぱ君の羽 作家名:サカヰダ コウジ