24分の1の恋人
契約が済むともうここには来ていただけませんね
一度オートバイでドライブして頂けませんか
そんな手紙が見村から届いた。
小百合は快諾した。
750ccのバイクに乗るのは初めての体験であった。
日光のいろは坂を曲がるたびに、小百合は見村の体にしがみついた。
油の臭いがした。男の臭いを感じた。
山桜が咲いていた。
「少し寒いな。うどんでも食べようか」
テーブルに向き合うと、小百合は初めて見村を男と感じた。
見村のうどんを食べる仕草も気になった。
年が違い過ぎる。そう小百合は思いながら見村を見ていた。
「散ってしまえば桜も来年にならないと咲かないな」
そう言いながら見村はバイクに乗った。
「小百合さんもそうしてくれると嬉しいよ。1年に1度くらい顔を見せてくれよ」