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遊学日記

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プロローグ



「日齢って知ってる?」
友人の言葉が旅立つきっかけになった。
 
年齢ではなく日齢。
文字通り生きてきた日数。

日齢で数えると、私は九五〇〇日程度生きたらしい。
一〇〇〇〇日は二七歳四ヶ月。
二〇〇〇〇日は五四歳九ヶ月。
あと一年もすれば一〇〇〇〇日。その倍生きたら五四歳?
となると、九五〇〇日という数字は短いとは思えない。
私は、いつの間にか人生の中の長い日数をなんとなく生きてきてしまった気にさせられた。

二六歳と一ヶ月。職業、美容師。
美容師を選んだのは、幼い頃からの夢などという理由ではなく、
自分を着飾る事にしか興味がなかったと言える当時、
「カリスマ美容師」という言葉が流行り、一部の美容師が芸能人のようにもてはやされた時代で、かっこよい仕事に思えたから。
だけど実際は、綺麗な仕事とは言えない細かく地道な作業の繰り返し。
それでも、なんとか今まで続けてこられたのは、いつの間にか芽生えていた
「いつか海外で働きたい。美容師だったら何処でも働くことができる!」
そんな想いがあったから。
日本社会をなんとなく窮屈に感じていた。だからこそ海外には漠然とだけれど自由があるような気がして憧れた。

月に六日の休日は趣味のボディーボードやカラオケ、ショッピングに飲み会。
稼いだ給料の使い道は、毎年変化する流行についていく為の、洋服やコスメ代へ消えてゆき、あまったお金はとりあえず貯金。



別に今の生活に大きな不満があるわけではない。
だけどいつも何か満たされない気持ち。
自分の中の大きなパワーをもてあましている感覚。
日本とは違った価値観に触れてみたい。
世界をこの目で見てみたい。

「いつか」を「今」に変える時がきたのだ。
好奇心旺盛なわりに、臆病で怖がりな性格を奮い立たせる。
今行かないなら、きっと一生行かないで終わってしまう。
一〇〇〇〇日目を迎える時、今より少しでも成長した自分になっていたいと思うから。

作品名:遊学日記 作家名:ともえ