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ニューズメーカーズ

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朝起きたら父さんと母さんの頭が地球儀になっていた。父さんは海が灰色で地面は赤茶けていて北アメリカとユーラシアが綺麗にえぐれていた。母さんは緑と青二色のああまるで地球って感じ。んでプラスティック製でその中ではフィラメントの群れがチカチカとチカチカと光っている。青とピンク。さながらクリスマス。
父さんと母さんはくるくる回りながら日曜の朝のドラマの様に声を出す。おはよう。おはよう。今日は早起きなのね。
凄いぞニュースを見てご覧よ。父さんが言う。隣のエリちゃんがな、悪の帝王になったそうだ。へええ、流石エリだな。僕も返す。おかしいんだろうけどおかしくはない。事実は小説より奇なりと言うから。この程度で驚いてたら僕達の頭は矛盾と不可解と困惑に潰されて爆発する。そんなご時勢だ。
でね、世界を救うのはカズキ君しかいないって言ってたわよ。生年月日平成59年9月30日東京生まれ東京育ちうちの三軒隣在住トミオカカズキって。誰が? そりゃあエリちゃん本人に決まってるじゃない。うっわホントに。で、僕どうすればいいのかな。とりあえず良いお天気だし外に出てみたら? あいよ。
そんなわけでコーンフレークにコーヒー牛乳かけた奴を食べて僕は外に出る。青い空をさえぎるシカゴシアーズビルと同じ身長の女の子。エリ。彼女が仁王立ちで僕を見下ろしていた。僕はエリを見上げてみてもスカートの中しか見えない。というかスカートの中すら見えない遠すぎて。何てことだ神は僕を見捨てたもうた。
暇だから来ちゃった。マジで。じゃあ何かする? 何しようか。えっエリ悪の帝王なんでしょ。帝王つってもねえ。戦う相手がいないとこちらとしても面白くないわけよ客の来ないマックとか寂しいばっかりじゃないおんなじおんなじ。じゃあ戦うか俺達そういうキャラなんでしょ? そうそう。 でもさエリ、僕武器ないんだけど。いや私だってないよ。まあエリでかいからいいか。でも女の子だもん。悪の帝王じゃん。帝王でも女の子だもん。じゃあ武器取って来たら。そうするー。
30分後東京タワー前でねー。といわれたので僕は武器を探しながら待ち合わせ場所に向かう。電信柱の横にねこじゃらしが生えていたのが懐かしくてぷちんともいで振り回して遊ぶ。ああもう武器これでいいや。インスピレーションで勇者になってみようと思う。
ところで、東京タワーまで行ったはいいけどそれはエリの肩に担がれていた。
私の武器これーかっこいいよねー。エリー。何々カズキそれで戦うのーさっすがー。それはいいんだけどさー。うんー。待ち合わせ場所東京タワーだよね。そうそう。待ち合わせ場所なくなっちゃったから戦い始められないね。あっほんとだどうしようか。てゆーか東京タワーって東京のシンボルじゃん東京がまず無くなるよ。いいじゃん別に誰か困んの?どうだろ。じゃあいいんじゃない?そっかー。じゃあいっか。
かくして東京は危篤に陥る。死に掛けの東京でそれでも民衆達は立ち上がる。武器を取れ武器を取れよ。僕はあの有名な名画のように死に損ないの民衆を導き空を舞う。ゆれるねこじゃらし。大きく振りかぶった赤い巨塔。始まらないから終わらない。とりあえず玉砕せよ玉砕せよ。ああこの面白きことなき世界に幸あれ幸あれよホワットアワンダフルワールド。
作品名:ニューズメーカーズ 作家名:チハヤトキ