なかにし君と、たけうち君。
であい(または遭遇)
ぼくの名前は竹内。中学二年生です。
とっても唐突だけど、ぼくには俗に言う“幽霊”というものが見えます。
見える・聞こえる・触れるのトリプルAです。だけど祓うとかそういう才能はからっきしなのであしからず。
そんな自分の体質のぼくは今まで色々なびっくりを体験してきたので、とりあえずトイレに入った時に頭上からちまみれの女の子が飛び出てくる程度のことでは驚かなくなりました。でも男子トイレに遊びに来られると困ります。ぼくも男の子です。
そんな僕に人生の転機というものがありました。
それは今から一年前。中学校の入学式。
両親の都合で中学校から生まれた地を離れて京都にて引っ越したので疎外感バリバリの中で挑んだ入学式。
「うわああァァぁ!!」
恥ずかしながら隣の子を見た瞬間に叫びました、盛大に。
「?」
ああ、うん。ごめんなさい。君が悪いわけじゃないんです。
ただ、君の周囲にうようよしてもはや君の姿が視認できないほどに存在する“人じゃないモノ”に驚いたんです。
こうして入学式で盛大に叫んだぼくは心配された先生によって保健室に直行してしまいましたとさ、という失敗談。
ぼくが叫んでしまった少年は失礼ぶっこいたぼくに対して腹を立てるどころか心配して保健室まで見に来てくれました。ただ、やっぱり何か背中とか頭とかにいっぱい何かついてました(怖い怖い)
ほんとに心配してきてくれたのか、それともやっぱり怒っていて腹いせに背後にいるのに何かやらせるのかとびくびくしていた時……うっかり目が合いました。
もちろん少年ではなく少年の後ろのナニカと…あ、無理。食われる。
次の瞬間。
『見えてる?』『見えてる見えてる』『目が合ったよ』『幸薄そうな小童で』『いまどきバナナの皮で転ぶたいぷじゃて』『サイフ何回か落としてそう』『きー』『きぃー』『ぎー』
お お き な お せ わ だ 。
ついでに最後の三匹は三段活用か何かと考えてしまいました。
そんな後ろガン無視の少年の言葉を少しうろたえながら返答しつつナニカたちを気にしていると。(うわ、近づいてきた)
『やれ小童や、小童。ちぃと人助け……否、霊助けをしてみんか。ああ、主様から顔を離すでないでや』
なんか断ったら食われそうだったんで従いました。(命は惜しいです)
『我らそこな主様の式だのなんだのだがの。ちぃと問題ごとが起きておるのよ』
正直、その主様にどうかしてもらえよ。というか、なぜ君は全スル―なんだこの状況。
なんて、思わず少年をじぃっと見た時。
『簡単な事よて。我らの主はそこな方なれど、いかんせん主様は我らの姿形どころか存在さえ認知できんのだ』
・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
そのすぐ後に本日ニ度目の絶叫(というよりもただ「はぁ!?」的な大声を出したに近いけど)を発して心配した先生に早退させられるのはそこから2分後の話。
ぼくの人生の転機。そしてぼく達のファーストコンタクト。
見える・聞こえる・触れるのトリプルA体質。だけど祓うとか撃退能力皆無のぼくに、見えない・聞こえない・触れない。存在を爪の垢ほど感じれないトリプルZ体質の…だけど馬鹿みたいに霊的技術力のMAXな友達が出来た瞬間でした。。
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作品名:なかにし君と、たけうち君。 作家名:727