最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』
記憶の波はあまりに圧倒的で、アレンはぐっと目を閉じた。押しつぶされそうだった。同時に、アレンは内側からエネルギーのようなものがわき出てくるのを感じた。それはどんどん大きくなっていって、抑えられそうになかった。
ジュダが叫んだ。たった数メートルしか離れていないのに、遠くから聞こえてくるようだった。
「アレン!今だ!その棒きれを燃やしてみろ!」
アレンは眼を閉じたまま、棒きれを持つ手に力を込めた。体の中でくすぶっていたエネルギーが棒きれを通じて外に出て行くような感覚だった。手先がほんのりと暖かくなった。
アレンは自分の手元に目をやった。棒きれはアレンの手の中で真っ赤に燃えていた。
作品名:最後の魔法使い 第四章 『地の魔法、火の魔法』 作家名:らりー