無題01
それを見ていた人々のことを考える
なにか、存在しないからこそ
意味があり、価値があると思われるものを
彼らは頑なに守ろうとし、
そのために
何もかもの痛みを昇華してしまった
こんな傷など
こんな痛みなど
何ほどのこともない 障碍になることはない
彼らは内に向かって降りていった
どこまでも
ただ一心に 解ける具象に掴まりながら
たしかに在ると信じて降りた
そして、
そこに求めるものが埋まっていないと見切った人々がいる
彼らは自分たちの外にそれを求めた
彼らは飢えることがない
はじめから満たされているから
己の身と同じように、また
精神や魂の実存を思わない
五体を傷つくことで生存を確信する人々がいる
それをよすがとして生きる人たちが
心にも同じことが言えるのかも知れない
誰しも
自分がほんとうは生きているのだと
その証明を欲しがっている