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Episode10,宇宙都市サテラ・ベース

 

 夏休みに入った。
 学校は生徒達がいなくなり静かになった。
 訪れるのは仕事の残ってる先生か、部活にやってくる一部の生徒だけだった。
 他の生徒達は家族と旅行に行ったり友達と遊びに行ったりと用事があったみたいだけど、私には何の予定もなかった。
 いや、その気になれば予定は作れるんだけど……
 今日も家で勉強してると兄貴からメールがかかって来た。
『舞ちゅぁ〜ん、遊びに行こうよぉ〜(>3<)、お兄ちゃん退屈で死んじゃうよ〜(笑)』
 あのバカ兄貴(怒)!
 夏休みに入った途端これだった。
 朝から晩までこんな感じのメールばかり送られてくる、その度に携帯を何度壁に叩きつけてやろうかと思った事か……
 
 しかしその翌日だった。
 いつもはメールしか送って来ないはずの兄貴が普通に通話して来た。
「はいっ!」
 私は電話に出る、
 丁度クレーム付けてやろうと思ってやろうと思ってたところだ。
「アンタね、そんなに暇なら勉強でもしたらどうなのよ! ホンット毎日毎日くだらないメールばっかり……」
『そう言うなって、今回は本気だ』
 つまり昨日までのメールは兄貴が暇つぶしの為に送ってたと?
 段々私の怒りが限界に達して来た時だった。
『これから宇宙に行くからお前も行かないか?』
「はぁ? 宇宙?」
 とうとう頭の中にまでバカが回ったか?
 と思ったけど兄貴は宇宙にいた事を思い出した。
『とにかく今表にいるから開けてくれ』
「ええっ?」
 私は窓の外をみると携帯持った兄貴が手を振っていた。
 あれ? そう言えばこんな事前にあったような……
 
 私は兄貴を家に招き入れた。
「おおっ、叔母さんっ家久しぶりに入ったぜ」
 兄貴とリビングにやってくる、
 私はさっきの言葉に意味を確かめた。
「それで、宇宙に行くってどういう事?」
「いや、それがファーランが夏風邪引いてさ…… あのバカ、昼夜逆転してる上に腹出して寝てたって言うから……」
 不破さんは夏休みに入るなり宿題を速攻で終わらせ、その後は遊びまくってそのツケが回って来たらしい、
「地球の薬はドラン人には効かないからな、そんな訳でちょっくら宇宙まで買いに行くしかないんだ」
 買いに行くって、ロケットでもない限り無理なのに……
「大丈夫だよ、オレはセイヴァ―・エージェントだぜ」
「いや、ちっとも理由になって無いわよ」
「論より証拠だ。頼むぜ相棒」
『ああ、準備は出来ている』
「舞、しっかりつかまってろ」
 兄貴が右手を差し出すと私は兄貴の大きな手を握った。
 するとギルから光が溢れて部屋中を包み込んだ。私は思わず目を閉じた。