SAⅤIOR・AGENT
Episode8,異星人との友情
4人のセイヴァー・エージェントが転校して来て数日経った。
私は来週の全校集会で配るプリントを生徒会室で作っていた。
「そろそろ休憩しましょうか」
「じゃあ飲み物を買ってきます」
私は生徒会室を出ると校庭の踊り場に設置されている自販機の前にやって来た。すると……
「あれ、舞じゃねぇか」
振り向くとそこには兄貴がいた。
「何よ、変な格好ね」
私は兄貴の今の珍妙な姿を頭から爪先まで見下ろした。
頭にはアメフト用のヘルメット、上半身はバスケの練習用のユニフォーム、下半身は野球のズボン、足にはサッカーシューズを履き、
右手にはテニスのラケットと左の小脇にはバレーボールを抱えていた。
「いや、また助っ人たのまれてさ…… 全く掛け持ちは辛いぜ」
「どうせ女の子にモテたい為でしょ」
「安心しろって、オレの本命はお前だけだから」
「気持ち悪い事言うなっ!」
それ実の妹に言うセリフか?
私の罵倒など気にしないのだろう、兄貴は鼻で笑うと私の横を通り過ぎてラケットを持つ右手を大きく振った。
「それじゃあな、次は陸上部に行かないと! じゃあな!」
「全く」
私はため息を零すと元の役目に戻った。
最近はこんな感じの日々が続いていた。
兄貴達はセイヴァー・エージェントの出撃が無く、普通の高校生として生活していた。
兄貴はああやってスポーツ系のクラブで活躍し、三葉さんは地球の文学を調べる為に文科系のクラブや科学系のクラブを渡り歩き、大神さんは格闘技系のクラブで猛威を振るっていた。ちなみに不破さんは…… まぁいつも通りだった。
私は生徒会人数分の飲み物を買って生徒会室へ戻っていた。
「平和だなぁ」
廊下の窓の外の梅雨明けした空を見ながらそう思った。
この地球に異星人がいて、ごくまれの悪い異星人が悪事を働いている事が嘘みたいだった。
出来ればこの平和がずっと続いて欲しかった。
しかしそうも行かなかった。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki