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愚痴ぐちゃぐ茶

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俺、俺、俺 おーーーーっ!雄叫びをあげる。
いや違う。コレは断末魔の叫び。
オレオレオレ……もう完璧折れた。
何だよ。そんな、だってよ。絶対…嘘だって。
まだ信じられない。参った。心底…参った。
人生ってやつが、俺にあと何年残っているかわかんないけど、
もうこの世の終わりみたいだ。
完全ノックアウト。完全な敗北。
ガーーンってどひゃぁーって、漫画の絵よりでかいオノマトペみたいに俺に圧し掛かる。

待て……。
少し待て……。
ひとりで悩むな。ほらこの様子を何事かと、興味と野次馬根性で見ているやつら。
ごめんなさい。
ご覧くださっている皆さまに ぶちまければ、僅かでも俺の心が和らぐかもしれない。

申し訳ないですが、吐き出させてください。
《遠慮なくどうぞ》
うん、確かに聞こえた……ってことで。

実は、僕恋していたんです。
あ、急に『僕』なんて変ですか?でも、その人とはそう話していたんです。
話?正確に言えば、言葉を交わしていたんですけどね。
チャットでもなく、スカイプでもなく、ネット文通というか電子メールとでも言いますか、
あはは、これは、普通な言い方になりましたね。
僕はツイッターをしていないんですが、掲示板みたいなところから始まったんです。
個人的にアドレスを交換して戴けたときは、ただ単純に暇つぶしになるかなって思いながら、作り物の俺を『僕』って置き換えて、ホントにくっだらなーいことばかり書いていたんです。
それが、いつだったか、何だったのかは忘れてしまったのですが、ぼそっと弱音を吐いてしまったんです。
この俺がだぜ!!
自分が何処行ったか?三周ぐらい家の周り探しちまったくらいの驚きだっだぜ!!
いや、大変お見苦しく失礼致しました。
その時その人の返してくれた言葉が…言葉が……うっ僕には勿体無いくらいの感激。
それからというもの、とにかく、その人の言葉が僕の悩みや寂しさや哀しみを癒し、
喜びや楽しさを増幅してくれたんですよ。
優しい語調で、文の始めは「そう…」っていかにも僕の横で 僕に仄かに熱を伝えるくらいの距離で 僕を見つめているように書き出されるんです。
「そう…それで」なんて返されたら、もう僕は締まりの無くなった……いやこんな比喩は相応しくない……流暢に浮かぶ言葉がつたない指先に伝わってサクサクではなくカクカクぐらいで書き……綴り始めるわけですよ。
途中で煩く口を挿まず……まあ文字ですから、それはできないことですが、長文になっても、きちんと正確に僕の言葉を受けてくれて、答えてくれるんです。
はぁーー・・・・・・。
思うだけで、また僕はその人の文字を追いかけたい衝動が……押さえきれなくなる。

《それで、どうしたの!!》
あ、『?』疑問符じゃない…クエスチョンマーク、耳垂れ、はてなマーク、インテロゲーションマークと言われる可愛いイメージを吹き飛ばす…あ、可愛くもないかな…そのイラつき、
嫌悪が僕におしよせています。
怒りの『!』感嘆符…エクスクラメーション・マーク。もはや、雨垂れ、びっくりマークなんて
言ってられないレベルマックスですか……。

いつしか、僕は、恋をしてしまったようです。
名もおそらく実名ではないでしょうし、何処に住まっているかも知らない。
もちろん、顔だって、声だって、容姿全てが、創られた情報による僕の中の虚像。
でも…とても可愛いし優しいし、はにかむ笑顔が女神か天使。
少し鼻にかかった甘え声が、僕の欲求の全てをほぐしてくれる。
顔は分からないのに、柔らかな頬が僕の言葉に赤らむんですよ。
はぁーー・・・・・・。駄目だ。完璧イカれた。

な・の・に…だぁ!!!!!

「今度、会いたいな。僕は何処へでも出向いて行きますよ」と言葉を送ると
あろうことか
「もう、止めようーや。疲れた。カミングアウトするわ。乙女じゃなくて悪かったな」
と言葉が返ってきた。

これ、なんなんだよ!!!!!

えー、俺もここはきちんと衿を正して、礼。
こんなことに付き合ってくださった皆さまには、誠に感謝しております。
話を聞いてもらえば、俺の心の痛みが和らぐかもしれないと思いましたが、
やっぱり、駄目なようです。
あいつと出会って良かったことは、こうして皆さまに挨拶できる言葉を知ったことでしょうか。
ただ言葉は、怖いです。
仮にも、いや真剣に、心を奪われ、柄にもなく、恋心を抱いたのに相手は正体不明の
たぶん男(野郎で結構だが…ここはぐっと押さえます)
俺だって、年頃のまあイケメン二歩手前の好青年です。
ぐふふ…自分で言うな!ですよね。
どうもありがとうございました。

がぁーーーー。ちくしょう!!!!! あれ?何処かから甘い声?

「はい。熱いお茶でもどうぞ」

     ― 了 ―
作品名:愚痴ぐちゃぐ茶 作家名:甜茶