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フォーゲットミーナット ブルー【第5話】

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【第5話】

――それは甘い記憶の話。
結衣と知り合ってから、メールや電話の回数が多くなった。
滅多に着信音を鳴らすことない私の携帯電話は、ほぼ1時間置きには嬉しそうにライトを点滅させるのだった。
私は幸せだった。毎日が充実しているように思えた。結衣とは連絡を取り合うたびに、距離が縮まっていった。そんなある日、結衣はカフェで紅茶を飲みながら言った。

「もうこうなったら、一緒に住むしかないよね」

胸がせつなくうずいた。嬉しくて嬉しくて、泣きそうだった。

「家賃も全部、両親が払ってくれてるし、あと無駄に広いのよね」

結衣のお父さんがお医者様だということを、私は知っていた。

「おいでよ。いい提案だと思わない?」

私は涙を流しながら、何度もうなずいた。

「ちょっと、どうしたのよ。なんで泣くの?」
「うれしくて……」
「あは。恵里ってば可愛いんだから」

そう言って、結衣は私の頭をクシャッと撫でてくれた。
結衣にとって、私と一緒に暮らすことは、たぶん、それほど特別なことではないと思う。私への感情は、親しい友人に向けるものだから。彼女は常にオープンだ。そしてシンプル。親しくなったら、一緒にもっと時間を共有したいと思うのだ。今回の提案も結衣にとっては特別、おかしいことではない。
………私は違った。私が結衣に向ける眼差しは、恋する相手へのもの。でも、そのときは自分では気づいていなかった。これが恋だなんて。ただ、結衣は大切な人。そう解釈していた。



【続く】