「仮面の町」 第十二話
帰り道優子は弘一がやりすぎだと少し感じていた。
家に帰ってからそのことを聞いた。
「ねえ、弘一・・・何故陽子にあんなこと頼んだの?本当の目的は何だったの?」
「優子には全部話すよ。気にかかることがあるんだ。久能は警部からもし真実を話すと聞かされたらどうすると思う?」
「そうね・・・止めるように買収するか、圧力をかけてくるかよね」
「だろう・・・口で脅すだけならいいんだけど、もし実力行使に出たら・・・って考えられないか?」
「実力行使?どういうこと、たとえば」
「署長命令で転勤とか、配置換え・・・それぐらいなら可愛いけど、裏の人間を使って脅しをかけるぐらいの事はやりかねないよ」
「あの人は警察官よ。まさかそんな事いくら裏の人だってしないんじゃないの?それに山崎さんだってそのぐらいは予測するでしょう自分がやろうとしていることがどういうことなのかって」
「だといいけど、真正面からぶつかってゆくと思わぬ障害にぶつかってしまうことがあるような気がする」
「ベテランだから、大丈夫なんじゃないの?」
「組織を離れて一人でやろうとすると、目立つし周りの協力が得られないから案外危険なんだよ。ボクから慌てないように言うつもりだけど
どこまで通じるか解らないからね。こちらも手を打って置かないと、証拠を隠滅されてお手上げになっちゃうと困るんだよ」
「弘一はそこまで考えているのね・・・すごいわ」
作品名:「仮面の町」 第十二話 作家名:てっしゅう