小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

天使を連れた悪人

INDEX|1ページ/1ページ|

 

天使を連れた悪人




私には、天使が一人使わされている。

なんでも前世の私は驚くほど善人だったらしく、そのご褒美らしい。

天使だとか名乗った男は、好奇心も隠さずにこちらを観察してくる。それもえらく楽しそうに。



「俺なんか見てて面白いのか?」



とうとう根負けして聞いてやると、奴は少し驚いた顔をして、それからすぐにまた笑顔になった。



「面白いですよ。我々にとって人は、学ぶべき師なのですから」

「なんだそれは。導かれるべきは人だろう? 俺たちをお創りになったのは、お前が尻尾を振ってるご主人様だ」



暗に犬呼ばわりしてやったのだが、理解できるかどうか。

そう思っていたら、不思議そうな顔で、



「天使に尻尾はありませんよ? 」



なんていうものだから、思わず飲んでいた紅茶を噴き出してしまうところだった。

気がつけば奴はすぐ後ろまで来ている。その手はどこかためらうように、こちらへと伸ばされていた。

それには気がつかない振りをして立ち上がる。不自然には見えないように、紅茶のポットを持ったままキッチンへと向かった。

横目で見てみれば、しょんぼりと腕を下ろしているところだった。

仕方がない。期待は打ち砕かれるものである。

罪悪感など沸くはずもない。

私は今生では、ただの悪人なのだから。





(嗚呼、今日もすばらしく神は平等だ!かつて悪人だった善人が罰されるというのなら、その逆は無いとなぜ言える?)



作品名:天使を連れた悪人 作家名:catakom