お姫様と魔王
「ハイ前言撤回いいいいいい!!」
お姫様は顔は上品で育ちも良かったのですが何をどう間違ったのか、口と性格だけがとても下品だったのです。
「シカトすんなよ!!っていうか欠点一個増えてんじゃねえか!!あと下品とか言うな!お前の方がよっぽど性格ひねくれてるわ!!」
良く言えば図太い性格であるお姫様を見込んで、父親である王様はお姫様にある頼み事をしました。
「ちょっくら魔王んとこに嫁に行ってきて」
「…は?」
こうして、お姫様の結婚が決まったのです。
「いやいやいやいやちょっと待ってよ。なんでそんな『裏庭で花摘んできて』みたいなノリで私の嫁入り決まっちゃったの。待ちなよ父上、そりゃいくらなんでも無」
「あ、実は魔王んとこからお前との結婚申し込まれた時即答しちゃったから異論は認めんぞ!」
「天下の魔王様婚活かよ!!情けねえよ!!」
「相手は魔王だぞ?不足は無いはずだが…」
「身分の話じゃねえええ!!いやある意味身分の話だけどっ…そういう身分じゃねえええ!!」
『今回の結婚は人間と魔物の和解を示す物だ。くれぐれも魔王様を尻に敷くとかしないように』
「元村娘の母上に尻に敷かれてるくせに何言ってんだか」
なんだかんだ言って、既に結婚式の準備は進んでいたそうなのでお姫様は城の馬車で式場へ移動していました。その間に思い出していたのが今の王様の言葉です。
今お姫様はドレスを着て髪の毛も侍女達に飾ってもらい化粧もしてそれはそれは美しい見映えでしたが、もとよりそんな事気にしないお姫様は大股しかもがに股で両腕を組み眉間に皺を寄せるという、なんとも下品な格好をしていました。
「ナレーション聞こえてるからね。全部聞こえてるからね」
それから何時間経ったでしょうか。人間の世界と魔物の世界の狭間に大きな城が見えてきました。
「おー、とうちゃーく」
お姫様が後ろを見ると自分の国の馬車がたくさん並んでいるのが見えました。おそらく自分以外は全てこの城に着て結婚式を今か今かと待ちわびているのでしょう。わかったら早く入りなさい
「なんで私ナレーションに案内されてんの…」
お姫様は渋々城へと歩いていきました。
「ようこそおいで下さいました。こちらへどうぞ、魔王様がお待ちです」
「ええ、わかりました」
早速外面スイッチをオンにしたお姫様は完璧な笑顔で魔王の従者と思われる魔物の案内で控え室に行きました。
「こちらが控え室となります。魔王様がご挨拶をしたいとの事で中におわします。それでは」
「ありがとうございました」
従者が去っていきお姫様は内心溜め息をつきながら控え室のドアを開けました。
「失礼いたします」
「入れ」
おめーの部屋じゃねえだろうがよ!けっ!という思いでお姫様は部屋に入りました。
「リーゼロッテ=アルマ・サンタモニカと申します。よしなに」
「…貴様、本物か?」
「どういう事でしょうか」
わざわざ偽者なんて使わねえよ…とか思いながらお姫様は笑顔で返しました。だいたいの男はこの笑顔に騙される事を知っていたからです。
「否、本物のリーゼロッテ嬢は想像を絶するほど口と性格が悪いと従者が言っていたからつい疑ってしまった。すまない」
従 者 の せ い か よ !!
従者ってさっきの奴だよな!?ああ全く!!あいつのせいで私のめくるめく外面生活がダメになっちまうじゃねえか!!
「いえ、お構いなく。面白い従者様ですのね」
内心で従者コノヤローとか思っているお姫様にこの後予想もつかなかい事が起こるのですが、それはまた後のお話し。
つづく?