ひと粒
天空を舞う
一羽の鳥が
気まぐれに
落として行った
ひと粒
ひと粒に
幸運の女神が
舞い降りて
命が宿り
脈打っている
目に入らない程の
小さな粒は
暗い所で
機が熟するのを
待った
きっと
オンリーワンの
ステージが
この地上に
あることを信じて
陽光に甘え
雨を味方につけ
風に励まされ
静かに
芽を出した
どんな障害をも
撥ね退け
胸を張り 堂々と
決して
後ろ振り向くことなく
天に向かって
グングンと
確かな足取りで
日毎に
成長していった。
耳を澄ませば
リズミカルな
心地良い音楽
それは 小さな粒が
伸びてゆく音
やがて
大きく成長し
我が家族の
一員に
加わった
来る日も
来る日も
単調に繰り返される日常
愚痴も言わず
優しい眼差しで
雨の日も
風の日も
嵐の日も
無言で
主の帰りを
待っている