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メル友に逢いたい

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 数か月が過ぎた。長島はティアラさんが最初に公開した風景画の雰囲気を頼りに、そこを目指していた。ヘアピンカーブが連続する山間のドライブウェイで、彼の車が大型トレーラーに追突された。突き飛ばされた長島の車が、前方に停車していた紅い車を押した。その車はガードレールを突き破り、落差百メートルの崖の上から転落した。長島は転落した車のおかげで命を喪わずに済んだのだった。
 その翌日、転落した車から美しい女性の遺体が発見されたと、大々的に報道された。即死だったことは間違いないだろうと、それぞれのメディアは伝えた。その車の中に、奇跡的に無傷の一枚の風景画があったことも報告された。それは、ティアラさんの夢の中の、あの港の絵だった。その絵は彼女が公募展に出品することにし、審査会場に向けて搬送中の作品だった。
 長島はそれから数週間後に、話題の絵を観るために美術展の会場を訪れた。パソコンの画面で見たのとは比較にならない程に、その作品は、驚く程美しいものだった。
 長島がティアラさんの家族に頼み込み、奇跡的に出品されたそれを、その港の絵を見たならば、こんなに美しい微妙な色彩がこの世にあったのかと、誰もが感嘆するに違いない。建物の色にしても、建物の窓々に咲く夥しい花にも、また、水に浮かぶ船の色にも、それを映す水面にも、実に様々な見たことのない色彩がちりばめられていた。それはティアラさんが、天国でしか見ることのできない色彩かも知れないと、長島は思った。

                  了








作品名:メル友に逢いたい 作家名:マナーモード