中二的防衛機制
「ダークマター」それは公には知られてはいけない類の性質だ。この性質を持っていることが知られれば、機関の黒服に連行される。研究検体として苦難の一生を興じることになる。故にこれを授かった者は安寧な生活のために性質を隠す。産まれながらの指名手配犯。
だが、俺は違った。俺のダークマターは隠しきれぬほど強大な物だった。故に、俺は中二病という仮面を被ることにより、機関の目をくらましているのだ。俺の通う高校にはその為の組織も結成している。
角卓の騎士団。そこには俺と同様の性質を持ったもの、別種の性質をもったもの、まったくの凡人が、中二病という概念を演じ、互いを際立たせないようにしている。木を隠すなら森の中という分けだ。
騎士団の中でも、俺の演技は卓越している。ダークマターという性質は計算能力を向上させるためそれも一役買っているだろう。だが一番は俺が14歳という正に中二病に該当する年齢だからかもしれない。戸籍上は17歳となっている。もちろん、これもカモフラージュの一つだ。
母は名乗らないが、俺の母もダークマターなのだ。だから、母は俺の素質にいち早く気づき、事前の対策を打った。飛びぬけた計算能力が目につかぬよう、俺を3年早く産んだことにしたのだ。その結果、俺のクラス内での学力は平均より僅かに下なものとして目だたずに済んでいる。
さて、自己紹介はこの程度にして、そろそろ学校に行くとしよう。今日は風が騒がしいな。
作品名:中二的防衛機制 作家名:tanaka_otu