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ゆるゆるゆる

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【プロローグ】

昨日は私の誕生日だった。
高校受験も無事に終わり、素晴らしい解放感にノリノリで「美奈、いっきまーす」と、家族が用意してくれたバースデイケーキに顔を突っ込んでしまった。
まるでコントのようにクリームを顔中につけて、にへら〜と笑う私を、母は「もう今後誕生日はケーキ無し」としばいた。
両親が笑ってくれると思ってやってみたのだが、どうやら失敗だったみたいだ。
少ししょぼーんとしていた私のもとに、もう数年も行方知らずの兄からプレゼントが届いた。消印からして、関東に住んでいるみたいだ。定型外の封筒に、一冊の本が入っていた。本の著者はジョルジュ・バタイユ。タイトルはエロティシズム。兄の意図が全く分からない。昨年は全然知らない作家のライトノベルが一冊送られてきた。しかも何故か二巻だった。三日後、A4サイズの紙に一筆「間違えました」と添えて、ライトノベルの一巻を届けてくれた。兄には悪いが、そのライトノベルは一度も読んでいない。
友人の凛子は「美奈ってアホ。でもそのアホさが世界を救うと思うよ。いつまでもそのままの美奈で居てね! 大好き! ハッピーバースデイ」と、悪口なのか、なんだかよく分からないメールを送ってきた。とりあえず「ノー・ミュージック。ノー・ライフ」と送っておいた。
つかの間の春休みも、もうすぐ終わり。私の通っていた中学は私立の女子校だった。高校からは公立の共学。そのまま私立の高校へ進みたかったが、断念した。お金が無いからというシンプルな理由で。父は「内臓売ってでも、お前をそのまま私立の高校に行かせたかった……!」と落ち込んだ。でも、そこまでされたら逆に気を使ってしまう。私はうなだれる父の前でピ●クレディーの某曲を歌いながら、踊った。「私立の女に、飽きたところよ〜♪」と。
さてさて、正直、男に免疫がない私は、無事に共学デビューできるのか、いまから心配している。私は男が苦手である。小学生のときにからかわれてばかりだったから。
高校生活は、できるかぎりおとなしく、目立たないように過ごすつもりだ。穏やかで楽しい毎日を私は望んでいる。
入学式まで、あと数日。どんな日々が、待ち受けているんだろうか。少しだけ楽しみである。


【続く】










作品名:ゆるゆるゆる 作家名:スイレン