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袋の話

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袋が敗れてしまいました


今まで大切に入れてきたものも今入れた嫌なものもすべてその辺にばらまかれました


袋はもう袋じゃなくてただのボロボロの紙です



道行く人々が私を見ました。
見てみぬふりをしました。

心の中で笑った人もいたでしょう、憐れんだ人もいたでしょう。
でもやはり他人事です。



他人の×はいくらでも換えがきくのです。


私はしばし呆然としていました

これらを片付けなければなりません、
袋も、どうにかして買わないといけません
ああでもどうしたことでしょうひどく面倒くさいのです、
当たり前ですが、ええ、面倒で仕方なくて、一体どうしてしまったんでしょうねぇ
面倒だと思いだすと、もうなにもかもが面倒で仕方ありません
紙袋を買うことも片付けることも歩くことも話すことも立ってることも動くことも考えることも喜ぶことも悲しむことも思うことも呼吸をすることも瞬きすることも生きることも死ぬことも




私はどさりと地面に倒れました



誰も私を見ないでしょう












作品名:袋の話 作家名:氷室夕