彼の残した3つの贈り物
1つ目
彼が亡くなってから3度目の9月19日が来た
いつもと変わらず過ごしていた私のもとに、差出人不明の大きな袋が届く
最初は何かの悪戯だと思ったが、なぜかとても懐かしい匂いがする
私は何の匂いだったか考えるが.....出てこない
しかたなく袋を開けることにした
中には、3冊のノートと白い封筒が入っていた
ノートを開き中身を読もうとした時、1輪の桜の花がひらひらと私の足元に落ちた
その花を拾い、再びノートを読む
最初に書いてあったのは
「元気にしていますか?これを読んでいるということは、俺はもうこの世にはいないのですね。」
この世にいない?
誰の事か、この香りと文章、そして桜の花で理解した
差出人の名は 西村庵
私の初恋の人であった
だが、私は葬式にも墓参りも行ったことがない
怖くて会いに行けていない
しかも、私は彼の事を忘れようとしていた、忘れることなどできるはずもないのに...
作品名:彼の残した3つの贈り物 作家名:静蘭ykusi