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その顔、エロいです。

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ただ偶然なんだ。
俺がセラに追いかけられて、前をしっかり確認せずに全力疾走してただけなんだ。
だからって・・・何でこんな状況になるんだ!!!!
こんな感じになる確率は果てしなく低いと思うんだ!!!
きっと、何兆何億何万分の一の低確率なんだ。
そんな確率なのに・・・運がいいやら悪いやら。

「タケ・・・。」


「ターケー!俺が鬼だあああああ!!」
セラは笑顔でタケを追いかける。
「お前、騙したのかよ!!クソッ!」
タケも悪態をつきながらセラの手から逃れて走り出す。
廊下を思い切り走り抜けていく。
大体の鬼ごっこは自分の部屋に戻れば終了となる。
だから、タケは一目散に自分の部屋へと向かった。
昨日は雨が降っていたので外で遊べなかった。
しかし、今日は快晴で気持ちのいい青空が広がっている。
昨日の分のエネルギーを今から外へ出て発散しても面白そうだな。
などと考え、後へ去っていく窓を横目で見ながらタケはさらに走る。

窓から窓へ景色が流れる。

すると、綺麗な赤青黄色の風船がフワフワと飛んでいくのが見えた。
タケはそれに気をとられてた。

目の前の人に気がつかずに―――

その日、昨日の雨のせいでいつもより多くのラファスギの花粉が飛んでいた。
トモは花粉症で今日は一日中室内に篭って居た。
一日じゅう室内に居ても気がふさぐ。
しかし、花粉はとてもしつこいらしく部屋の中にまで進入してくるようだ。
おかげでくしゃみと鼻水と涙が止まらない。
気晴らしに、花粉に聞くと言う噂のリンリン牛の飲むヨーグルトを飲みながら歩いていた。
「ラファスギ・・・爆発すればいいのに。」
などとわけの判らない言葉を呟きながら廊下をゆっくり進む。
窓の下でなんだか女の子の泣き声が聞こえる。
「わー・・ふうしぇんがああああ、えーん、とってよお、ままー。」
窓ガラス越しでも聞こえる声なので、とても大きな声で泣いているのだろう・・。
「可哀想に・・・。」
そっちに目をやりながら廊下をゆっくり歩く。


ドターン。


トモの背中には硬い感触が合った。
そして、目の前にはタケの顔が。
タケの太ももには床とは違う温かく柔らかい感触が。
目の前にはトモの顔が。

あれ、確か今はセラと鬼ごっこをしていたはず。
なのになんで俺はトモの上に乗ってるの?
其れよりもなんでトモの顔に白濁とした飛沫がついているんだ?
そして、何で涙目で寝ているんだ?
顔近いなあ・・・。
タケは混乱して、トモの上でパニックを起こしている。
「タケ・・・どいて・・。」
「あ、ごめん!トモ君!!!」
0.33ぐらいの速さでその場に直立した。

トモは自分で握りつぶしたヨーグルトのパックを片手に、廊下に寝そべっていた。
タケの服にも飲むヨーグルトが附着している。
トモには何故タケがそんなに慌てているのかが判らなかった。
重力に逆らえないで何かが顔を滴り落ちる。
拭うと、自分の飲むヨーグルトだった。
「タケ、俺の顔なんか変?」
タケへ素朴な疑問を投げかけた。
「え。そんなこと無いよ・・・。」
すると、タケは慌てて自分の部屋の方へ駆け出してしまった。
セラの声が聞こえた気がした。

タケは走りながら呟いた。
「だって、顔にヨーグルトが付いてて涙目で、その顔がエロいです。何ていえるわけ無いよ・・・。」
作品名:その顔、エロいです。 作家名:私は誰?