突発性発疹
細く目をあけて
元気なく抱っこをせがむ
熱い体を抱いて
背をさすり続ける
この小さな子を
病魔はさらっていこうとしているのか?
身構えて
えたいの知れない虚空を睨みつける
39度!
解熱剤にさえイヤイヤをして
弱々しい手で払いのける
速い呼吸に胸が騒いで
昼下がりの穏やかな空気は
たちまち不安に食いつくされていく
腕がしびれて
背が痛み始める
時の感覚が歪んだのか
時計の針は遅々として進まず
時を刻む音だけが
静かな部屋に響く
小さな寝息を聞きながら
知らない神様に祈って
知らない神様に願って
知らない神様を恨みそうになる
この世に来て一年もたたない幼子には
目をつけないでください
何の楽しい思い出も
持たせてやれないではないですか
生きあぐねた人生では
ダメでしょうか?
あなたの天秤に乗せれば
重さはそう変わらないはずですが
オモチャを投げつけて駄々をこねても
赤鬼の様な顔をして大泣きしても
健康な日々がいい
三時間が
一日にも思えた
冬の日