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マーラさんと考える世界平和

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マーラ「なぁ、俺考えたんだけど。」
山田「どうしたの、藪から棒に?」

マーラ「えっ、俺たしかに棒だけど。固くて太い棒だけど。藪からじゃないよ!藪からじゃないよ!」
山田「うん、ごめん。ちょっと言ってみただけなんだ。」

マーラ「そっかぁ。ちょっとびびった。」
山田「うん、ごめんね。で、今日はどうしたの?」

マーラ「俺ね。思いついたんだ。」
マーラ「俺がさ、地上にいる全ての人間を触手で捕らえて、全員に最高の快楽与えたら、みんなが幸せになるわけじゃん。」
マーラ「これって世界平和になりませんかね?」

山田「………。どっちかっていうと、ディストピアな気がする…。」
マーラ「えっ!だめ!?だめだった!?」

山田「いや、人間の幸せっていろいろだから、だめとは一概に否定できないけど。」
山田「でも、世界中の人間っていったら、かなりの数いるよ?」
山田「全員相手にするのは無理があるんじゃない?」
マーラ「大丈夫!俺、絶倫だから。」

山田「世界の半分は男だけど、男はどうするの?」
マーラ「男色だっていけるよ!そこらへん、やっぱり性器の神だから!」

山田「…。」
マーラ「えっ、なんでそこで後ろに下がるの!?できるけど、そのことにアグレッシブな積極性とかはないよ!」
マーラ「こう一応資格持ってますみたいなできる感じ。免許でいうならペーパードライバーみたいな。」
マーラ「そんな反応されたら傷つくよ。超傷つく!」

山田「ごめん。ちょっと動揺しちゃって。」
マーラ「もうー!半泣きになりかけたじゃないか。ぐすんっ。」

山田「でも、やっぱり世界を平和にするのは、凄く難しいんじゃないかな。
山田「今までいろんな人が考えて、誰も実現できてないことなわけだし。」

マーラ「確かにそうかもしれない…。」
マーラ「本当に困難なことだと思う…。」

マーラ「けど、だからこそ、挑戦してみたいんだ。誰一人泣くことなく暮らせる世界を作れるのは俺だけかもしれない。」
マーラ「だから、俺がやらないと!」

山田「そうか。かっこいいな。」
マーラ「うん!男根の神だからね!男気ビンビンだよ!」

山田「そっかぁ。そんなに熱い決心だったのか。
山田「じゃあ、俺は応援するよ。」

マーラ「うん!ありがとう!」
マーラ「俺、行ってくる!俺の触手で世界を平和にしてくるよ!」

山田「いってらっしゃ~い。」

一時間後、マーラさんが泣きながら、こちらへ戻ってきた。
何かから逃げるように青い顔して、亜光速でこちらにやってくるマーラさん。
いったいどうしたのかと思ったら、その後ろから顔を真っ赤にして剣を振り回す勇者があらわれた。

マーラ「たすけてええええええ!」
山田「いったいどうしたの!?その状況。」

マーラ「地上に行って、さあみんなを触手攻めで幸せにするぞーって思ったら。」
マーラ「勇者がやってきて帰れって、そんなので世界が平和になるわけがないと言われて。」

山田「それで?」
マーラ「あまりにも無碍に否定してくるから、俺、悔しくなっちゃってさぁ…。」
マーラ「勇者に俺の理論を理解してもらおうと、触手攻めしようとしたんだよ。」

山田「あぁ…。」

勇者「聖剣の錆になれ、このクズ悪魔ああああああああああああ!(ぶんぶんぶん!)」
山田「(聖剣さびたら困ると思うんだけど…。)」

山田「勇者って、処女だもん…。いきなり触手攻めとか喰らったらそりゃキレるよ。」
マーラ「まじかぁ。それをちゃんと言ってくれたら、俺だって気を使ったのにぃ…。知らなかったんだもん…。」
マーラ「俺、男気とデリカシー溢れる悪魔だから、気配りとか結構するタイプなのにぃ…」

山田「まぁ、この中世の時代に、20歳半ばになっても、まさか経験無しとはなかなか思わないかもね。」
勇者「(ビキッ)おまえら全員塵も残さず、浄化してやるうううう。クソ悪魔どもおおおおおおおおおおお!」

山田「あれ、何故かこっちまでタゲられたああああ」
マーラ「とにかく、逃げようよううううう(泣)」

三時間後、マーラさんと池のほとりの前にたたずむ。
どちらも全身傷だらけのふるぼっこ。

マーラ「俺、ただ世界を平和にしたかっただけなのに…。」
マーラ「なんでこんなことになっちゃったんだろう。」

山田「みんなきっと同じことを思ってるんだよ。」
山田「そしてそれぞれの平和にしたいという思いがぶつかりあって、結局、世界は平和になれないのかもしれない…。」

マーラ「そっかぁ…。」
山田「うん。きっとそうなのさ…。」