アサガオ3
「先生、外食するのは初めてですね、めずらしい~いつもお弁当を持って来てるから」
「たまには外で食べてみたい、弁当を作るのは面倒くさいから」そばにいた海が何も言わず頭を下げてついてるだけだった。
「俺もそっちのレストランに行くから、よかったら、一緒に行きませんか?」
・・・・・・
先生は海の顔を見て、「海さんのオーケーが出たら、私がかまわないよ」と言ってくれた。海が喋らずにうなずいた。
食事した時に、海が自ら自分の本名、故郷、誕生日までいろいろ教えてくれた。その時、海が俺のことを嫌うわけではないと気づいた。いっぱい教えてくれて、うれしいはずだったのに、嬉しくなれなかった。だって、塾の課程が終わったら、海がアメリカに行くんだから。本名もう教えてくれたから、これから彼女を「桓」と呼ばなければならない。教室で騒ぎが起きるので、たぶんそれで桓はいまのままにしたい理由だったかもしれない。
授業終了まであと2週間で、ある日の放課後、俺はストーカーみたいに桓の後ろにつき従った。桓に付き従って、交差点二つを渡ってから、桓を呼び止めた。
「桓、歩いて帰るの?」
「姉さんのうちは塾から近いから、歩いて帰るよ、あなたは?」
「俺・・・バスで、あの・・・この授業が終わったら、別々になってしまうんじゃないですか、引き続き連絡したいんだけど、電話番号を教えてもらえないかな」と思い切って言い出した。
「いいよ、XXXXX、それは今使っている番号。故郷に帰ると、新しい番号を変える。あの時、教えてあげるね」と桓は嬉しそうな顔で答えた。
きっと断られると思ったのに、そんな親切に教えてくれて、全然思わなかったんだ。勢いに乗ってもっと話すはずだったのに、嬉しすぎて、何か言ったほうがいいかわからなくなって、ただ「じゃ、また明日」と慌てて言って、バスのとこに小走りで行った。