アメリカ漂流記~極寒の地より
その日は、とても寒い日でした。
マイナス16℃を下回り、外にでて、鼻で息をすーっと吸うと鼻の粘膜がぴたっとくっつきます。
ここまで来ると、寒いというよりは痛いという感じになります。
現場の計算機室には、暖房が来ていないので、ジェットヒーターを購入し、灯油をいれて使用していました。
計算機室に言ってみると、そこにあるはずのPCがなくなっていました。
「どこに行ったの? 大事なプログラムが入っているのに。」
みんなで探し回りましたが、とうとう見つかりませんでした。
幸い、プログラムは別のPCにもコピーしていたので助かりましたが、もしそのPCの盗まれていたら、この先、何ヶ月も変えることができなくなるところでした。
「殺す気か!」
とこの時は本気でそう思いました。
安心したとたん、体中に痺れる様な寒気が襲いました。
「あれ?」
昨日まで、私たちを暖めてくれていたジェットヒーターがありません。
それすら、盗まれていたのです。
「本当に、殺す気か!!」
みんなで叫びました。
急いで車に乗り、往復2時間掛けて、ジェットヒーターと、チェーンロックを買って来ました。
PCは今週末、フローレンスまで買いに行く事にしました。
「お前の物は俺のもの、俺のものは俺のもの・・・」
まるでジャイアンみたいな奴がいる。それが自由の国アメリカなのだ!
工場のオペレータ達は、みんなサイドビジネスをやっており、就業時間が終わった途端に帽子やらナイフやらを売りに来た。それが自由の国アメリカなのだ!
オペレータルームの床は、お菓子の袋だらけ・・・・
見兼ねた工事屋のおっちゃんが、「お前ら、自分の食った後くらいちゃんと片付けろ。」と注意すると。
「それは、我々の仕事ではない、そのためにこいつらを雇っている。」と、メキシコ系の掃除夫のおじさんをあごで指すのです。それが自由の国アメリカなのだ!
おっと皆さん、誤解しないでくださいね。
みんながみんなそうではないですから。
とても優秀で、教養があり、ウィットに富んだ素敵な方々も大勢いらっしゃいます。
そんな方々がアメリカを引っ張っているのですが、それを自分達の物と誤解している輩が多いのです。
「
ジャップが来るから俺達の仕事が無くなる」と、陰口を叩く輩・・・・
すみません、あなた方が出来ないから、お金をもらってこうして来ているのです。
決して、あなたの出来る仕事を奪ったりなんかしません。
先進国の技術者は素朴で、勤勉で一生懸命学ぼうと必死で、色々な事を聞いてきます。
次は自分達でやろうとする意欲に満ち溢れており、在りし日の日本を彷彿とさせます。
だんだん日本も意識の面からアメリカナイズされ、崩壊へと進むのでしょうか・・・不安です。
とにかく、文化レベルの低さにあきれてしまった一日でした。
作品名:アメリカ漂流記~極寒の地より 作家名:ohmysky