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茶房 クロッカス 番外編

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『茶房 クロッカス』
 この店の前に立つと、ついあのクリスマスの日を思い出す。
 ここへ初めて来た日、それは紅葉狩りを兼ねたハイキングに沙耶から誘われた時だった。
 初めての集まりだっていうのに、すっかり遅刻してしまったんだよなあ、あの時は――。
 確か電話で、沙耶から早く来るように急かされたんだっけなぁ。
 そして、楽しいハイキングの途中でクリスマスパーティの話になって、急遽僕たちのバンドが生演奏することになったんだった。
 あれから何年経ったんだろう。早いもんだなあ……。

 あのクリスマスパティーに参加してくれたみんなは、今頃どうしてるんだろう。
 きっと元気で忙しく過ごしてるんだろうなあ。
 そう言えばいつだったか、頃山さんと草愛さんが、近くまで来たからと言って寄って行ってくれたなあ。
 あれからみんなそれぞれ忙しくて、クロッカスでのクリスマスパーティもしてないけど、また機会があったらやってみたいなあ。今度お義父さんに提案してみようかなあ。

 沙耶との結婚は、小さい時から知っている仲だったから特別心配はしてなかったけど、夫婦になってからも沙耶は、妻としても母としても頑張ってくれている。二人の間に生まれたルイも可愛いし、僕は幸せだ。

 店のドアを前にして、つい物思いに耽ってしまった。
 ルイが待ってるはずだ。

 ドアを開けるとカウベルが鳴った。
 カラ〜ン コロ〜ン♪

「あっ、パパ。お帰りなさぁ〜い!」
 早速ルイの可愛い声が迎えてくれた。
「ああ、ルイ、ただいま。今日もお利口にしてたかな?」
 そう言いながら僕はルイを抱っこして、高い高いをしてやった。
 すると、僕の腕の中でルイが言った。
「パパ、毎日同じこと聞くね。わたしはいつだってお利口だよ! ねっ、ママ」
「そうね。ルイはいつもとってもお利口さんだわ」

「――さあー。じゃあ、おじいちゃんにサヨナラを言っておうちに帰りましょ」
「はぁーい! ――おじいちゃん、またね。さようなら〜」
「ああ、ルイ、また明日も頼むよ」 
 おじいちゃんが片手を上げて言った。

「お義父さん、じゃあお先に失礼します。お義母さんももうすぐ帰って来るでしょうから」
 僕はひと言挨拶をすると、ルイの手を引いて、沙耶が帰る準備をするのを待っていた。
「ああ、良くん、いつもお迎えご苦労だね。優子ももうすぐ帰ってくるだろうよ。そしたら俺も片付けて帰るよ」
 お義父さんがそう言ってる横から、沙耶が声を掛けた。
「さあ、帰りましょう。じゃあお義父さん、お先にぃ」
「ああ、ご苦労さん。また明日な」 
 そう言うとお義父さんは、玄関のドアを開けて外まで僕たちを見送ってくれた。