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てっしゅう
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「仮面の町」 第四話

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「何をなさるの!酷い・・・私も出てゆきますから」
「ああ、出てゆけ!どいつもこいつも俺の恩を忘れやがって・・・気に入らないなら好きにするがいい!ただし二度と世話をしないぞ、覚えて置けよ。帰れないと思って・・・出てゆけ」
「あなたこそ何も出来ないくせに・・・家のことがどうなっても知りませんから・・・失礼します」

そう康夫に言い放って自分の部屋に戻って荷物をまとめだした。もう娘の心配などしてられない・・・自分の帰る場所は無いから一人で仕事を見つけて住むところを探さないとやってゆけないことに図らずも焦燥感はあった。しかし、今はこの夫と暮らすことの方が嫌悪感に苛まれるので一刻も早くとりあえずこの場を去ろうと、そういう気持ちが先走っていた。

康夫に引き止められもせずに次の日の朝黙って家を出た。昨日は優子にあんなに責めていた自分が同じことをしている不思議さと言うか変わりように驚かされていた。駅までの道を歩く足取りは重たかったが、隣町まで行けば何とかなるだろうと淡い期待だけにすがって手にかかるカバンの重さを受け止めていた。