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とある女子高生の特別な日。

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昨日からそわそわした空気を感じる

今日は世に言うバレンタイン。正しくはヴァレンタイン?

どちらにせよ私には縁のない日だと思っていた。去年までは。

でも今年は違う。

今年は何としてでもチョコを渡したい相手がいる

あこがれのあの人に。

毎年チョコをあげているという菜奈美に1週間前から特訓してもらい

どうにかこうにか形になった。

おかげで昨日は緊張して眠れなかったが。

教室の窓からのぞくと憧れのあの人の姿が見えた。

先回りして昨日手紙だけを下駄箱にいれておいた。

あの人がこんなに早く来るのはそのせいだ。

バレンタインの日に早朝から呼び出すなんて、もうその意図は伝わってしまっていると思うが関係ない。

とりあえず直接渡してしまえば今日のミッションは終了だ。

「よし!」と気合を入れて下駄箱へと急ぐ。

下駄箱に着くと先輩が。「おはよう」

「あ、あの、今日はこんな朝早くに呼び出してしまってすみません」

「大丈夫。ここでは誰か来るかもしれないし、屋上にでも行きましょう」

「は、はい!」先を行く先輩にそそこさと着いていく私は、逆に呼び出された人間にしか見えなかっただろう。

「残念、鍵が閉まってる。ここでいい?」

「は、はい大丈夫です」

心臓の鼓動がいつもの倍以上に高まっている気がする。

「あ、あのこれ受け取って下さい!」

もってきた袋を先輩へとぐいっと差し出す。

反応がない先輩をちらっと見ると少し困惑している表情を浮かべていた。

「気持ちは嬉しいんだけど…」

「義理ではないのよね?女の子同士ってのはちょっとびっくりね」

確かにこのチョコは本命だ。義理なんかじゃ渡せない。

理解されないことも覚悟していた。でも……。

「そ…そうですよね。いきなりこんなことしたらびっくりしますよね!」

さしだしたチョコを引っ込めて「すみませんでした!」と言いその場を去ろうとした。

が、チョコを引っ込めようとしたところでがっしりと袋をつかまれ

「私は受け取らないとは言ってないわ」

「え?」

驚く私に対し微笑みながら先輩が見つめている。

やばい。今の私はトマトよりも赤いはず。

「私でよかったら受け取らせてもらうわ。でもまだあまり話したこともないし、友達から始めましょう?」

「あ、えぇ!?、は、はい!よよ、よよろしくおねがいします!!」

うまく声にできない私を見て先輩は微笑みながらつぶやいた。

「ふふ、今まで生きてきて、こんなにドキドキした日は初めてだわ」

私だってこんなに赤くなった日は初めてだ

「そろそろもどりましょうか」

「は、はい!」

「あなたはまずその緊張するのを直さないとね。まず今日から一緒に帰りましょう」

「はい!よろしくお願いします!」

今まで意識しなかった特別でないただの一日。

でも、きっと今日から毎日が特別な日に変わる。