カシューナッツはお好きでしょうか?
21.ふけさん
少女はカラオケ店に入ってから延長に延長を繰り返し、ついには営業時間ギリギリまで一度もマイクを離すことはなかった。
普通の人だったら途中で嫌になるのかもしれないけれど、私は終始興奮し、楽しんでいた。少女の歌う姿はいつでも輝いていて、数十時間見続けても足りないくらいだった。
「……カエデさん、君はなんでアイドルになろうと思ったの?」
少女の歌を聞きながら、私はあることを考えていた。
「君はどんなアイドルになりたいの?」
そう、それは短絡的で至極当然な思考の流れ。
「実は提案があるんだけど……」
こんなに輝いている少女を、こんなところで埋もれさせておくわけにはいかない。それは、人類にとって多大な損失だ。
「私が、君を、アイドルにする!」
私は少女のために、この身を捧げることを決意した。
作品名:カシューナッツはお好きでしょうか? 作家名:タコキ