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トルコ行進曲

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一旦、終了しましたが、思い出すエピソードがあれば、また書き足します。

現地事務所の所長さんが、ハマムが好きで良く行くそうです。
ハマムとは、トルコの銭湯です。
銭湯といっても、サウナのような感じで、あかすりとかやってくれるとの事です。
私は結局行きませんでしたが、ホテルから歩いて15分程のところにそのハマムはありました。

ある日の休日、救急車がホテルの前の道路をけたたましくサイレンを鳴らしながら通過して行きました。
何かあったのかと、ホテルから救急車の言った方向に散歩がてら歩いていくと、
どうやら救急車はハマムの前に止まっている様です。

腰にバスタオルを巻いた人が、担ぎこまれているのが遠目に見えました。
「ありゃりゃ、大変だなぁ」とそれを見た次の日、事務所へ行くと、所長さんがお休みです。
「所長さん、ハマムで倒れて、救急車で運ばれたそうだよ。」
と言っているのが聞こえました。
(ま、まさか、あの老人は所長さんだったのか!)

事務所は大騒ぎです。
色々な事務処理があり、所長さんが居ないと大変なのです。
午後になり、お弁当のキョフテ(肉団子)をパクついていると、ふらっと誰か入ってきました。
良く見るとそれは所長さんでした。
「所長、大丈夫ですか?」
の問いかけに、
「ん? 大丈夫、大丈夫。ちょっとのぼせただけだから。」
と、とても元気そうに言いました。

「ハマムであったまっていたら、急にクラっとしてねぇ。こりゃいかんと思ったんで、色々言ったが言葉が通じず、めんどくさいからわざと倒れたんだよ。そうしたら、救急車よばれちゃってねぇ。
引っ込みが付かないからそのまま乗っちゃったってわけ。
みんなも、具合が悪くなったら、無理せず倒れなさい。そうすれば自動的に病院に連れて行ってくれるから。」

だって。

まったく、人騒がせな所長さんです。

シミット(ゴマ付きのパン)を頬張り、チャイ(トルコの紅茶:とても甘くして飲む)を飲みながら、
新聞を読む所長さんを、みんな白い目で見ていたのでした。

作品名:トルコ行進曲 作家名:ohmysky