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トルコ行進曲

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ある晩、ディナーに3人を招待しました。
本社は北海道ですので、
「北海道といえば毛ガニでしょう。」
ということで、NGフードもクリアしている事だし、奮発して1人1杯の毛ガニ
を注文しました。
出された毛ガニを見た途端、3人の顔色が変わりました。
聞くと、トルコでカニといえば、小さい沢ガニのようなやつしかなく、こんな
毛だらけのグロテスクなでっかいカニは見たことが無いとのことで、
これによく似たクモならいるとのことでした。

誰ひとり、手を付ける人がいなかったので、私が、
「これ、食べるとおいしいんですよ。」
と、言うと、
「このカニは、どの様な殺し方をしたのですか?」
と聞かれました。
「なぜ?」
と聞くと、生き物を生きたままお湯にいれたりして、苦しんで死んだものは
食べる事が禁じられてるとか・・・
「いやいや、ちゃんと死んでから、茹でていますよ。」
めんどくせーな、と思いながら笑顔でそう答えました。
それでも誰も手をつけないので、
「私が食べ方を教えてあげます」
といって、毛ガニを手に取ると、
「ちょっと待ってください」といって、かばんからビデオカメラを取り出し、
写し始めました。
私は、気にせず、甲羅をバリバリっとはずしました。
「ワオー」
と言いながら、興奮した様子でカメラのファインダーを覗いています。
カニの身を剥き、甲羅にたっぷり付いているカニ味噌にたっぷり付けて口の中へ・・・
日本人ならたまらないでしょ?
トルコ人は、「ワオー、ウォー」といい、顔をしかめて私を見るのでした。
彼らにしてみれば、悪魔の化身として忌み嫌われている、クモのはらわたに、クモの
足を付けて食っている野蛮人に見えた事でしょう。
さながら、奇人変人ショーを見ているような興奮に包まれて行きました。

結局、誰も食べなかった毛ガニは私が持ち帰り、私の家族の胃袋の中に消えて行きました。

この教育が終わった後、私がトルコ入りした訳ですが、この時のビデオを彼が家族に見せたらしく、私は彼の家族の中では有名人になっているとのことでした。

これにて、トルコ編は終わりです。
読んでくれた皆さんありがとうございました。
次はアメリカ編でお会いしましょう。
作品名:トルコ行進曲 作家名:ohmysky