小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

トルコ行進曲

INDEX|4ページ/44ページ|

次のページ前のページ
 

日曜日、朝10:30分にエリフホテルに集合、このホテルは、我々が
滞在しているホテルから5分ほど離れたところにあり、ほとんどの日本人
技術者が泊まっている。我々は部屋がいっぱいで泊まれなかったのである。
とてもきれいなホテルでテラスレストランがあり、とてもおしゃれだ。

今回の釣りは参加者総勢11人、船は通訳のムスタファさんが手配して
くれた24人乗りの二階建てレストラン付き豪華客船だ。
費用は一人6000円とこれまたリーズナブルである。
釣った魚を料理して、食べるといった嗜好である。船はエリフホテルのそば
の船着場にくる予定になっていたが、約束の時間から1時間ほど経過している
にもかかわらずまだ見えない。ムスタファさんが電話で確認すると、給油中との
こと、前もって入れとけっつーの!

船に乗ること約1時間、ようやく目的の停泊地が見えてきた。ちょっとした岩場の
入り江で、家族連れの人たちが海水浴を楽しんでいるのが見える。
船はその入り江に止めようと試行錯誤を繰り返しているが、波が少し高い上に風が
強くてなかなかうまい具合に停泊できないでいる。と、突然「ガリガリ、ドカン」と
いう音がしたかと思うと船がぐらっと傾いた。座礁したのである。

脱出はできたものの、船の舵が全く聞かなくなってしまったということである。
まぁとりあえず、かえるときのことはあまり考えずに釣りを楽しもう。
釣具は現地調達したが、竿などはなく、テグスを巻いてあるプラスチック製の輪を
もって、テグスの先に15個ほどの針と疑似餌がついた仕掛けを船からたらし、
上下させることによって釣るという極めて原始的な漁法である。
「絶対つれない」と思ったが、11人でトライして、結果・・・やっぱり5センチくらい
の小魚が2匹つれただけで終わった。

釣りそのものより、釣る雰囲気を楽しめたので良しとしておこう。
食事は前もって船に積んできた魚を船の厨房で料理してもらった。アジのフライとさばの
塩焼きである。醤油とご飯があれば言うこと無いのだが・・・おっと贅沢は禁物。
ある哲学者が言っていた言葉、「これがあたりまえと思った瞬間から不幸が始まる」と
いう言葉を思い出し、おいしくいただいた。

さあ、一通りのレジャー行事も終了し、そろそろ帰ろうか、ということになったが、
壊れた舵は復旧しておらず、他の船に迎えに来もらって、曳航してもらうということになった。待つこと1時間、1隻のクルーザーがやってきた、このクルーザーにロープで繋ぎ、いざ帰路へと向かったが、舵が壊れている客船は左左へと流される。

波も高くなり、このまま行くと、転覆する可能性も出てきたので、いったん、入り江へと
引き返し、客船を乗り捨ててクルーザーで帰ることになった。10人乗りのクルーザに船員含めて15人ぐらい乗り込みぎゅうぎゅうになって1時間、やっとのことで元来た場所に戻ることができた。

船に弱い人たちは皆、真っ青な顔をしていた。なにはともあれ、無事に帰れたのでこれはこれでOKとしておこう。今度はちゃんとした釣り舟でつりに行きたいと思った。

作品名:トルコ行進曲 作家名:ohmysky