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落葉する季節 - リライト版 ゴーストハント 完結記念小説-

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2-3



ガコンッ
シュートが外れたバスケットボールが、リングに当たって大きな音を鳴らす。
「あー、外れた。くやしい!」
連続シュート成功で景品のグレードが上がるゲームで最後の一投を外してしまったあたしは、ぶうっと膨れてしゃがみこむ。
「せっかく勇人さんが上手いこと繋いでくれたのに、くやしい」
まあまあ、と座り込んだあたしに手を差し出しながら勇人さんは笑う。
「いつまでも座っていたらみんなが見てるよ。それにほら、谷山さんスカートなんだから」
「!」
慌てて立ち上がり、恥ずかしくなってパタパタとスカートの裾を叩く。
しまった。調査だと絶対スカートなんて穿かないのに。
「でも、スカートよく似合ってるよ。写真では制服か学校ジャージだったから」
「……どうも」
言われ慣れていないから、なんて答えたらいいか分からず思わずつっけんどんな返事になる。しかしそれには気にした様子もなく、「次はどこ行こうか」と聞いてくる。

「あ、ちょっとのどが渇いたんで何か飲み物買ってきます」
体育館から出たあたしが近くの模擬店を指さして言うと、
「俺も何か飲みたいから買ってくるよ」
と申し出。
「さっきのごはんからゲームまで、ずっと勇人さんに出してもらってるし」
さすがに奢られっぱなしは気がひける。
「でも、文化祭だから現金使えないし。金券に変えるのも正門前の受付まで行かないといけないから、ここからだと遠いよ?」
「でも……」
「まあ奢られてよ。俺が誘ったんだし」
ね、と言われてはこれ以上押し問答するわけにもいかず、「ごちそうさまです」とぺこりとお礼する。


……なーんであたしなんかに興味持ったんだろうなぁ。
飲み物を買いに行った勇人さんの後姿を見つめながら、つい溜息が出る。
まだ会って小1時間だが、話してみて分かる。明るくて、人当たりも良くて、女の子の扱いも上手い。モテない訳じゃないだろうに…。
なんとなく何か隠してる感じもするし、いつものバイト関係かと思ったが、今のところ全く話す様子はない。
接点ないしなぁ。

そこまで思って、思考は夏の空気とともに彼の人へ。
――ジーンが生きていたら、こんな風に一緒に歩くことが出来たのかな…。



と、人混みの向こうで飲み物を買っている勇人さんをなんとなしに見ていたあたしは、ここで少しの違和感を感じた。
勇人さんを見る周りの人の様子がたまに変だ。驚きというか、ギクリと身を固くしている感じ。
一緒に校舎内を回っている時から何となく感じることがあったが、一番長くいた勇人さんのクラスのでは感じなかったので気のせいかと思っていた。でも、今思い返すとそれ以外の3年生の階は顕著だった。

ほら、また。

注目して見ていると、顔を見てから反応しているのだとわかる。制服を着た一般生徒の中から、特定の誰か発見してしまって驚いている感じ。
――それはまるで、絶対に会わないであろう人を見た反応で――