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落葉する季節 - リライト版 ゴーストハント 完結記念小説-

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1-3



「ギャランティ」
お茶出しから戻ってきたタカが発した言葉。
「ギャランティ」
オウム返しにあたしも呟く。

「前に調査した案件、協力依頼がいるのがあるって言ってたよね」
タカの言葉に、協力が必要な案件があったことを思い出して頷く。
現在のSPR日本分室は、実際に調査に向かうのは二名。しかも、所長代理がいくらフィールドワーク研究室チーフの森さんだとしても、もう一人の調査員がミソッカス能力者のあたしでは、出来ることは限られてる。
原則、現象を調べることがフィールドワークの仕事だが、調査をさせてもらうお礼に不都合を解決する場合もある。そのために協力者に応援を要請することもあるのだ。
「外ではお金の話は出来ないから連れて来たんじゃない? いつものことだよね」
さすが事務員としてホスピタリティを発揮しているタカは、今までのこともよく見ている。
「いやー。今までって一人に協力要請しても、結局メンバー全員集まることばっかりだったし」
うにゃむにゃ。
「まあねえ。所長が依頼を受ける時って、どうしても大きな案件だけだったものね」
そう言って、タカもあたしの言葉にうんうんと頷いている。

みんなかぁ。どうしてるかな、ぼーさんには今日会えたけど。
ナル、リンさん、真砂子、綾子、ジョン、安原さん。

なーんて、タカと二人しばらくボーっとしていると「仕事してない奴がいますよ」と、森さんに告げ口しながら所長室からぼーさんが出てきた。
急いで居住まいを正し、机の上に放りっぱなしだった手紙を片付ける。
「あれ、ノリオ早いね」
言いながらタカがぼーさんを応接セットに案内する。
「おう、確認だけだからな」
ぼーさんも勝手知ったる動きでソファーに座り、「もう十月だってのに涼しくならねーな。もう一杯アイスコーヒーちょうだい」と注文までする始末。
ああ今、ナルの「ここは喫茶店じゃないんだが?」の声が聞こえたわ。

「で、麻衣がどうしたって?」
ぼーさんは、二杯目のアイスコーヒーを美味しそうに飲みながら話を振ってくる。
ぎくん。
「あー、騒がしくしてごめんね。ぼーさんには関係ない話だから」
ここは冷やかされないように無視だ。
「おいおい、なんか冷たいぞー」
「文化祭のことだもん、おじさんには関係ないもん」
「おじさん……いいけどさ」
いじけた振りをするぼーさん。ちょっと可哀相な気もするが、冷やかされるのが目に見えているので情にほだされてはいけない。タカも黙ってくれている。
が。
「シフトのことが関係しているなら、私には教えてくれるかしら?」
なんと森さんまで話に参加してくる。

タカとあたしの出勤については特に定めはなく、基本的に空いている日は出勤。というスタイルは所長時代から変わらない。ただ、森さんが所長代理をするようになってからは、もう少しきちんとしたシフト希望の提出と出勤表が組まれている。
「高橋さんは、今週土日が文化祭で休みよね。谷山さんは再来週」
「はい。それに変わりはないんですが、麻衣は今週日曜日も予定が入ったみたいで」
「あら、そうなの? 谷山さん」
予定表を見ながら話していた森さんは、クルリとあたしの方を見る。
「いえ、全く予定なんてないです!」
日曜日は、件の文化祭一般公開日だ。
ちからいっぱいの否定。
タカめ、黙っててくれるんじゃないんかい。勝手に話を進めるんじゃないとタカをぎろりと睨むが、本人はいたって涼しい顔だ。
「文化祭の準備とかだったら、そっちを優先してね。生活の為のお給料も大切だけど、高校生生活は今しか出来ないんだから」
「準備はあたし、免除されてるから」
気遣ってくれる森さんには悪いが、こちらも慌てて否定する。
しかしそれで納得した訳ではないようで、ふうん? とあたしの顔を覗き込んでくる。
「それじゃ、高橋さんの文化祭に行くの?」
「あ、あたしの文化祭はの一般公開は土曜日です」
タカがすかさず答える。タカめ、森さんはあたしに質問してるんだぞ。
「ほかの学校のお友達にも誘われたの?」
「いや、あっちは行くなんて決めてないし。一人だし」
ううう、諦めてくれない。有無を言わせない森さんのペースに、尻すぼみになりながら答えていると、
「なんだぁ、麻衣にもついに彼氏が出来たか」
とニヤニヤ顔でぼーさんが茶々を入れる。
「あら、それなら尚更お休みしていいのよ」
同じくウフフと笑う森さんに、「ですよねー、滅多にないことですもんねー」とタカも同意している。

あーあーもう。
はいはい、確かに日曜日に件の学校には行くつもりでしたよ。
何せ、『知り合いに頼んであなたにこの手紙を渡します。』とあるように、手紙に差出人の連絡先は入っておらず、返事のしようがない。
文化祭は一緒に回れませんと断るにしても、当日に学校で伝えなければならなかったからだ。
だけど、バイト前にちょこっと寄るだけと思っていたのに。

そうこうしている間にも、明らかに人のネタで楽しんでいる三人に、本人の希望はきれいに無視され、あたしの週末の予定は決定してしまった。