TranceMix! 1話
ガチャン!!
「ふぅ…」
研究室の前にようやく運び終えた。重かった。
今度の会議の時にでも、『敵兵運ぶ班』を作ってもらおうかな。と考えていると、研究室のドアが開いた。
出てきたのはシンヤ…ではない。というかそれ以前に人間ではない。
ウイーン、ガシ。ウイーン
「………」
自分の目を疑う。
なんせ、数時間前に倒した敵兵が出てきて、今さっき倒した敵兵を連れていったからだ。
「…今のは?」
「あのロボット兵を私が改造して作りなおしたの」
独り言に返事が返ってくる。
振り返ると、少し後ろにナオが立っていた。
「どういうこと?」
そう言って、セイジはナオの方を向く。
「研究班の結果を聞いて、いらないところ研究班に渡して残りを改造したの」
「たとえば?」
「なんかよく分からないチップみたいなのとか、電流を流したら『ウィーン』って中の軸が回る部品とか」
「聞いといてごめん。よくわかんないや」
はっ!?また殺気!!?
「ていっ!!」
小さく前転してかわす。
後ろを振り向くと、今さっきまで自分がいた位置に、鬼が持ってるような金棒が振り下ろされていた。
「…ちっ!!」
犯人はもちろんリョウだ。リョウも懲りない。
「ふぅ…」
セイジはため息をつく。そして、落ち着いてから前を向く。
「「っ…!!」」
なぜか目の前に、ナオのスカートがある。
まだセーフな範囲だ。多分。
だが、リョウからするとアウト。
「離れろこのヤロウ!!」
リョウの放ったとび蹴りを”背中に”モロにくらう。
「うわっ!!」
それによって態勢を崩したセイジはそのまま、ナオを押し倒す(形になる)。
「きゃっ!」
そして、倒したまんまも悪いのですぐに離れる。
「ご、ごめん!」
「今のは事故だから仕方ないよ」
「でも、本当にごめん!」
事故とはとは言え、女の子を押し倒してしまった。ここは謝っておくのが筋だ。
「ほんとにいいのセイジくん”は”悪くないから」
だが、ナオは許してくれた。ナオは基本的、みんなにやさしい。だが、リョウに対しては対してやさしくない。だから、さっきの『セイジくん”は”』なのだろう。
「リョウ君、ちょっとこっちに来て?」
そう、”優しく”呼びかける。すると、さっきまでセイジに対して暴言を吐きまくっていたリョウがとたんに大人しくなる。
「なんだい、ナオちゃん?」
リョウは精一杯かっこつけて言いながら、ナオについて行った。
恐らくこの後、リョウはナオにたっぷり怒られることだろう。…リョウが何かに目覚めることが無いように祈ってようかな…。
作品名:TranceMix! 1話 作家名:ざぶ