自分の世界
高校生になると共に、気持ちを入れ替えようと思う沙奈恵。中学生の時、親は知らないがいじめられていた。一度、くびつりをしようと考えたこともあるほどだ。でも、中学を卒業し、親の仕事のため引っ越すことになった。もう、いじめられることはないだろう。もう辛い思いをしなくていい、そう思うと高校生活が楽しみだ。高校は共学で、彼氏だって、出来る可能性が高いし賢い人が多いところだから、いじめるなんてことするわけがない。と、思っていた。
入学式、全員が知らない人かと思えば、なんと、小学生時代の友人がいた。その友人は、中学の途中で引っ越してきたらしい。あっちも、沙奈恵のことを覚えていた。
「あっ、あれ?もしかして、沙奈恵?私よ、小学生の時、仲良しだった美緒奈よ!」
「あっ!美緒奈!うわー、嬉しい!」
さらに、美緒奈とは同じクラスになり、マスマス楽しい学校生活になると思った。でも、いきなり、ショックを受けた。それは、美緒奈はこの学校にいる生徒みんなと仲が良く、彼氏もいるのだ。だから、沙奈恵ばかり構うことができず、直ぐに別のこに呼ばれて行ってしまう。
「ねぇー。美緒奈ー。何あの子?友達?」
美緒奈の友人が美緒奈に尋ねた。その様子を影から見ていた沙奈恵。
「ああ、うん。そうよ。小学生の時の友達。でも、あの子中学でいじめられてたんだってー。ウフフッ、だから、こっちに来たのよ。」
その言葉は、沙奈恵にもしっかり聞こえた。美緒奈がそんなこと言うはずがない。混乱した。いままで、信じきってた唯一の友人がそんなこと言うなんて。悪口はもう聞きなれてるが、いままでいろんな人にいろいろ言われたが、一番ショックを受けた。沙奈恵は心を押さえつけることができず、飛び出した。
「美緒奈!あなた、最悪よ!影で人の悪口を言うだなんて!」
思わず、手も出て美緒奈を突き飛ばしてしまった。美緒奈は、その時、足を捻挫してしまい、沙奈恵についての噂が学園中に広まった。沙奈恵は、またやってしまったのか・・・と思った。せっかく、張り切っていた学校生活。こんなはずじゃなかった。今では、私を構ってくれる人はいない。学校を休めば余計にいじめられると思い休むこともできない。高校生のいじめは軽いものではない。怖かった。もう死にたかった。でも、やっぱり、死ねない。あまりのつらさに耐え切れず、沙奈恵は学校に行ってフリをして近くのファーストフードにいって、携帯だったり、パソコンだったり持ち込んで学校をサボっていた。沙奈恵がやってたのは、「お付き合いゲーム」だった。この調子だと、彼氏もできない。だから、代わりにいじめなんてしない見知らぬ相手と付き合いたいと思ったからだ。その、お付き合いゲームは、彼氏、彼女がほしいという人たちが集まってその人たち同士で話し、パソコンじょうで付き合うことができるというものだ。
《はじめまして、さなです。彼氏、募集中デース。好きなタイプはいろいろなので、お気軽にお願いします☆彡》
はじめて、送った。すると、すぐに、何人かから返信がきた。
《よろしく!俺、リン。俺は、甘えん坊な女の子が好き。》
《はじめまして。さなちゃんは今日はじめてこのお付き合いゲームをしたの?結構これ、リアで付き合い始める人が多いんだって〜。だから、さなちゃんも頑張ってねー。》
というものであった。この返信が嬉しくて、嬉しくて。
《返信ありがとうございまーす。初心者なので、わからないことや、ミスが多いと思いますが、よろしくお願いします!》
そんな会話が、午前九時から午後七時ごろまで続いた。