ピアフ
居酒屋だったかレストランだったか
ラヴェンダーが盛りの時
刈り取って床に敷き詰める
踏み散らかして歩きまわる
そしてそこはかとなく香るラヴェンダー・・・
膝に抱っこで
耳元で話してくれた
嬉しさいっぱいの私は少し振り向いて
歩きたいねぇ・・・
うん
と頷いた
遠く彼方へ、何の前触れもなく
黙っていってしまった
ラヴェンダーの香りだけは変らず
ポプリを作って枕元
少しずつ微かになっていく香りは
うん と頷いた、あの時を
無かったことにしよう
と言っているようで
目覚めた午後から聞いているピアフが
見知らぬ世界へいざなう
こんな曇った空の日
カーテンを閉め切った部屋で
聞くにふさわしい
現実から少し離れて
私の世界
うん と言った あの人は
遠い宙から見ているんだろうか
哀しいわけではないのに
溢れる想いに涙が浮かぶ
宙から
私も見てみたい
閉ざしたカーテンの部屋でじっと耳を傾け
ピアフに聞き入る少し寂しい
幸せ感じ上手のもう一人の女を