読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ
萌え心を揺さぶる友への言葉・その3
** 本作は『ぼくが途方に暮れる理由』に掲載していました **
選択基準は、すべて私の独断・偏見・願望・妄想による。悪しからず。
ドイツ語圏に該当するものは入れていない。『読み違えドイツ詩妄想仕様』というシリィズで、あからさまなエコ贔屓をしているためだ。
ちなみに、下へ行けば行くほど我が萌え度は高くなってゆく。
一篇目は、友情のみならず恋愛にもあてはまる真理だろう。校内の問題児・不良クンに片想いしてた学生時代、悦に入っていた己を思い出す。
「あなたが捕まっても、私だけは味方だから」
「先生や親が理解してくれなくても、私だけは理解してるから」
「いっそ逃避行もかまわないから」
怖すぎる…妄想が。
いや、妄想なき片想いなんてあるのか。片想いこそ妄想の温床だ。『青息吐息』の葵少年を見るがよい。ドエライことになってるぞ。
注目は四篇目。《恋愛的な友情》という表現がミソ、というかモエ。
あくまで《恋愛的》にとどめ、《恋愛》へと発展してはならない。このギリギリ感にそそられる。とりわけ同性愛を扱った物語では艶々(ツヤツヤ)と色めいてみえる。
本来、友情しか成り立たないハズの少年同士、その一方が性的マイノリティだった場合、最初は抵抗しながらも次第に魅かれ、最終的に結ばれるBL界にあって、二人の出発点がいとこ同士や幼馴染同士だったりすると、とたんに萎える私だった。
見栄も打算もない幼少時を共有してきたからこそ、安易な恋愛関係におちいって欲しくない。古めかしく云うのなら《節操を持て》、我流に云うのなら《領分を保て》。浅葱と藤との関係性、ひいては私が理想とする幼馴染同士の距離感を存分に描いたつもりの『浮世の契り』では、《絶対域》という表現を使っている。
四篇目の言葉を見つけたのは、偶然にも『浮世の契り』を完成させたあとだった。
「これだよ、これ、私が書きたかったのは! やるなロラーン!!」
と、それまで名前すらも知らなかった文豪に烈しい親近感をいだいてるわけだが、彼はそんなつもりで書いたんじゃなかろうに、そんなつもりで妄想されたあげく寄せられる好意なんて、熱いどころか寒かろうな…。
では、スタート。
***
◇友人の果たすべき役割は、間違っているときにも味方すること。
正しいときにはだれだって味方になってくれる。
――マーク・トウェーン
◇しばらく二人で黙っているといい。その沈黙に耐えられる関係かどうか。
――キルケゴール
◇少なくとも強い友情というものは、ある不振と抵抗とから始まるのが自然らしい。
――アラン
◇恋愛的な友情は恋愛よりも美しい。だがいっそう有毒だ。
なぜなら、それは傷を作り、しかも傷の手当てをしないからだ。
――ロマン・ロラン
作品名:読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ 作家名:夏生由貴