読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ
萌え心を揺さぶる友への言葉・その1
** 本作は『ぼくが途方に暮れる理由』に掲載していました **
選択基準は、すべて私の独断・偏見・願望・妄想による。悪しからず。
ドイツ語圏に該当するものは入れていない。『読み違えドイツ詩妄想仕様』というシリィズで、あからさまなエコ贔屓をしているためだ。
ちなみに、下へ行けば行くほど我が萌え度は高くなってゆく。
殊に最後の一篇については、訳者の方へ『萌え度MAM、略してMM大賞』を贈呈したい。ご本人にとっては迷惑極まりない、輝かしき翻訳人生におけるシミのような賞であろうが(だったら、贈るなよ)これまた悪しからず。
では、スタート。
***
◇友情に関しては、他の事物のように飽きるなどということがあってはならぬ。
古ければ古いほど、あたかもブドウ酒の年代を経たものと同様に
ますます甘美となるのが自然の理だ。
――キケロ
◇われわれは絵を愛するように友人を愛すべきだよ。
たとえその額縁がどうであろうともさ
――藤田嗣治
◇三本のマッチを一つずつ擦ってゆく夜の闇
一本目は君の顔全体を見るため
二本目は君の目を見るため
最後の一本は君の口を見るため
あとの暗がり全体はそれをそっくり思い出すため
君を抱きしめたまま。
――プレヴェール(安藤元雄氏訳)
◇友人が片目なら、ぼくは友人を横顔から眺める
――ジュベール(訳者不明)
◇あなたのなかで私は生きる、あなたが側にいなくとも。
自分だけでは死んでいる、現にここに在りながら。
どれほど遠く離れていようと、あなたはいつも側に在り、
どれほどこの身が近かろうと、それだけでは私は不在。
私が自分のなかよりもはるかにあなたのなかで生きるゆえ
自然が侮辱をうけたと感じるとしても、
平然と働き、私のこの罰当りの肉体に
魂を注ぎ込んでくれる高き力が、
自分だけでは本質を欠いたままである魂と見てとって、
あなたのなかで拡充してくれる、これが最大限可能な大きさと。
――セーヴ(渋沢孝輔氏訳)
◇一人が死に一人が生き残っているときにこそ、
友情がどんなものであったかが知られる
――司馬 遷
◇俺の言葉に泣いた奴が一人
俺を恨んでいる奴が一人
それでも本当に俺を忘れないでいてくれる奴が一人
俺が死んだらくちなしの花を飾ってくれる奴が一人
みんな併せてたった一人
――宅島徳光
◇何千年かかったって
とうていだめ
言いつくせるものじゃない
あの永遠のほんの一瞬
あのきみがぼくを抱いた
あのぼくがきみを抱いた
冬の光が射していたあの朝
パリのモンスリ公園で
パリで
地上で
遊星の地球の上で。
――プレヴェール(大岡信氏訳)
作品名:読み違え&萌え心を揺さぶるシリィズ 作家名:夏生由貴