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檀上 香代子
檀上 香代子
novelistID. 31673
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雨の子 ピッチョン

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(あア、つまんないの)外は雨、ピチョン、ピチョン。ベランダの花びらにもピチョン、ピチョン。 窓ガラスにもピチョン、ピチョン。タッくんひとりでお留守番・ピチョン、ピチョン。今日は日曜日。保育園も、お母さんのお仕事も、お休みだ。 なのに、ピチョン、ピチョン、(お母さん、買い物、早く終わらないかなあ)。 雨の日はいつもひとりでお留守番。窓のガラスに、かわいいホッペをくっつけて、ピチョン。すこしつめたい、ピチョン、。 (どうして、雨は降るのかなあ)(お友達は、何してるのかなあ。)ピチョン。〔誰か遊びに来ないかなあ〕窓にホッペをくっつけて、うつら、うつうつ、うーとうと。¦¦¦ (タッくん、遊ぼう)かわいい声に、タックンは、おどろいて、窓の外を見ると、タッくんのくりくりおめめの前に、小さな、小さな坊やが立っていた。水色のベレー帽をかぶり、同じ色の長いコートの男の子が、ニッコリ笑って立っていた。(きみだーれ?)タッ君が言うと(僕、雨の子ピッチョン) (雨の子?)(そう、雨の子ピッチョン、お空から降りてくる雨の子。淋しがり屋のタッ君と遊ぼうと、ピチョンと降りてきたピッチョンさ)というと雨の子坊やはピチョンチョンとはねて見せた。(どうやって来たの?)タックンが聞くと、ピッチョンは、可愛い小首をかしげ、そして(そうだ! 僕の国に行こうよ、そうすればきっとわかるよ、ピチョン)(ピッチョンの国へ?)(そう、きっとおもしろいよ)そういって、ピッチョンは、かぶっていた水色帽子を、タッ君の頭にのせた。すると、不思議、ふしぎ、スーツ、スイ、スイと、タツ君の身体が小さくなった。ピッチョンと同じくらいに、小さくなった。
(さあおいでよ。)ピッチョンが、タツ君に手を差し伸べた。(どうやって行くの? お空をとぶの?)とタックンは聞いた。ピッチョンはわらって、首を振り(ううん、僕たち一人じゃお空をとんで行けないの)。(じゃ、どうやって?)ピッチョンは、答えないで (いまにわかるよ、来てごらん)ピッチョンは、タッ君のてをひいて、窓のところから、下のお花畑のお花うえに、ピチョンと飛んだ。タックンも一緒にピチョンと飛んだ。(ほら、、上をみて!お空があかるくなってきたよ)ピッチョンは、お空を指した。(もうすぐ、お日様が顔を出して、僕たちを雨の国へ、つれて帰ってくれるの。それまで葉っぱの滑り台で遊ぼうよ。)ピッチョンがすべすべ葉っぱの上を、ツルツルコロリン滑って下の葉っぱへ、タッ君も真似してツルツルコロリン、(わあ、面白いなあ)--何度も何度もツルツルコロリン。ポカポカお日様顔をだした。
(ああ、きもちいいなあ。タッ君、僕の手に
しっかりつかまって)とピッチョン、タッ君がピッチョンの手につかまると、あらあら不思議、ピッチョンが風船のように膨らんで、ふーわふわふわふんわりお空にとんだ。タッ君も一緒にふーわふわふわふんわり、(うわあ、飛んだ飛んだおそらにとんだ。)タッ君大喜び。(タッ君しっかりつかまって)(あれ?あっちにも、こっちにもピッチョンと同じ坊やだ)。お空に、大勢のピッチョンがいた。(あれは、みんな僕の仲間、雨の子たちさ、いろんなところに降りた雨の子が、お日様の熱のエスカレーターで雨の国に帰るんだよ)みんなでぐんぐん上っていった。ほら、タッ君のお家もスーパーも、タッ君の家の前の赤いポストも、みんなみんな小さくなった。(あれ?)急に目の前がまっくら、黒雲の間に入ったピッチョンとタッ君、(わあ、雲が顔にかかって苦しいよう)タッ君、うっかりピッチョンの手を離し、雲を払ったとたん、体がスーと下へ、すごい速さで落ちていく。(わー助けてえ)大声で叫んだ。(タッ君、どうしたの?)優しいお母さんの声がすぐ近くにきこえた。(あーお母さん)タッくん、お母さんの胸に飛びついた。(うたたねしたら、かぜひきますよ)やさしく抱っこしてくれた。お母さんのお土産はピッチョンと同じ色の雨コート。これからは雨の日の一人でお留守番なーしよ。