俺はゴースト
幼いころから、意地っ張りで、怖いものなしなんて言って、弱いものいじめをしていた淳。でも、実際。一つだけ怖かったものがあった。それは「ゴースト」
「おい、淳。お前は霊とかお化けとか信じる?」
「フッ、そんなん結局いるわけないしっ・・・。お前信じてるんかぁー。うーわー、アホや。」
小学生の時の淳だ。強がっている。でも、この時から霊とかいるわけないとは本当に思っていたが、少し怖かった。
高校に入り、彼女も出来た。全てが順調だった。そう思っていた。しかし・・・夜道を一人出歩いているときに事故にあって、息を引き取った。両親も早すぎる死にショックを受けた。
「なんでだ・・・。なんで、淳が俺らより早くに死ぬんだ。」
「落ち着いて、あなた。」
《なんで、かあちゃんもとおちゃんも泣いてるんだ?俺は、ここにいるというのに。》
《おい、俺はここにいるぞ!おい!なんでだよ。》
いくら呼びかけても応答はない。そしてやっと淳は気づいた。
《俺・・・死んで、ゴーストになったんだ・・・》
ありえない。ありえない。そんなはずがない。ゴーストなんているはずがない。淳は、受け入れることができない。あたりまえだ。
すると、葬式に来ていた、クラスメイト達の声が聞こえてきた
「あいつ、彼女いるからって、調子に乗ってたからこうやって死んだんだよ。フッどんくさっ。」
「おい、お前。本当のこと言ったらダメだろっ。ハハッ。」
小さな声でも、淳には聞こえた。咄嗟に近くに行った。
すると、次は淳の彼女。美波の声が聞こえた。
「そんなの言わないで!淳は、私にすっごく優しくしてくれたもの。いくら、淳がここにいないからって、そんなのひどいわっ。」
美波は、そう言った。淳は、美波に抱きついた。でも、もう、ゴーストだからわかってもらえない。それが悲しい。自分は、聞くことしかできないのか・・・?
そこで、様子を見ていると何故か、急に足が動き始めた。自分で動かそうとしてるわけではない。勝手に動いているのだ。不安な気持ちがいっぱいでいっぱいになった。
そして、着いた場所はごくごく、普通の建物だった。なかへ入ると、そこにいる人たちの視線がこっちをむいた。淳はぺこりと頭を下げた。そして、あたりを見渡すと、幼い子から、年寄りまでいろんな人がいた。しばらく、驚きのあまり突っ立っていると足音が近づいた。
「お兄ちゃん!いらっしゃい!ねぇー一緒に遊ぼうよおー。」
「えっ!?おにいちゃん?いらっしゃい?」
すると、奥から
「ここは、死んだ人々が集まるところだ。はじめは信じられんだろうが正真正銘本当のことだ。さっ、早く受付にいきなさい。すると、このバッチが貰えるだろう。これは、ゴーストの証だ。」
「えっ...。わっ、分かりました。」
淳は、言われたとおりに、受付に行き、名前、生年月日などを記入し、バッチを貰った。そして、淳はバッチを胸につけた。これで、今、淳はゴーストになった。