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手紙とお皿

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ずし…ずし…

一歩一歩歩いていく
すごく重い

「なんだろうねぇ、昨日はなんでもなかったのにねぇ」

膝に重りがある、腰が曲がっていく
ゆっくりと歩いていくといつもの椅子がある

「よいっしょ…」

決まった場所にある紙と鉛筆を取り出す。
カッ…カッ…
ゆっくりと書き出す

「道人さん、今日のご飯はほかほかに焼いたパンに目玉焼きをのせたものですよ」

いつものことを書き出す。
愛する人への言葉

20年たった
この手紙を書き続けて20年たった

返事は来ないけどずっと送り続けている恋文

「愛してます、道人さん」

最後にそう締めくくり手紙を封筒に入れて部屋の決まった場所に置く

そこには大量に積まれた手紙がある。
20年毎日書き続けた彼女の手紙だ

「道人さん、明日は何がいいかね」

20年過ぎた
あなたは今どこで何をしているんですか

手紙の宛先が書けません
ずっと空白のままです。

お願いします。
教えてください、あなたは今どこにいますか


「明日はビーフシチューにしましょうね」

ずし…ずし…
一階に降りていって食卓の椅子に座る。



その前の皿の上には静かに置かれた白い骨があった。



「道人さん、あなたはどこにいったのかね」


カラン…老婆の笑顔と共に静かに皿の上の骨が動いた。
作品名:手紙とお皿 作家名:アマイ