裏切りのbelief
顔を歪めて叫ぶかつての仲間を目の前にして、僕はほほえんだ。あまりにも予想通りの反応でおかしかった。
あのとき、僕は絶望した。信じられなくて、息が止まって、苦しくて、叫びたくて、死んでしまいたくて、動けなくなった。そんな僕に、「大丈夫か?」と心配そうに声をかけてきた君たちを、僕がどれほど殴り殺してやりたいと思ったか。
あきらかにいつもと様子が違う僕をおいて、君たちは旅に出ようとしていた。君たちは僕を連れて行くつもりだったみたいだけど、僕は共にいけなかった。行けるはずがなかった。家から出ていけなくなった僕に、君たちは外から声をかけてくれたね。「○○○が死んだのは、つらいよな。俺たちもつらいし、本当は泣きたい。でも、そんなことをしてても○○○は戻ってこねぇ。俺たちにできるのは、○○○を殺した『奴』を、俺たちの手で倒すことだ。なぁ、そうだろ?そのために、俺たちはもっと強くならなくちゃいけない。君も、一緒に行こう!強くなろう。今までみたいに、一緒に!」
○○○が死んだのはつらい?僕は絶望した。泣きたい?僕は何も感じなくなった。○○○が戻ってこないなんて、○○○が死んだことすらまだ実感できないのに。『奴』を倒してどうするんだ?それこそ、奴を倒したって○○○は戻ってこない!今までみたいに旅へ?
僕は、今までの僕ではなくなった。
そんなとき、僕の前にあの人が現れたんだ。
「○○○が死んで、絶望した?それともまだ、死んだって信じられない?そうだろうね、死にたいよね。○○○が死んだのに、生きてる意味なんてないもんね。奴はまだ生きてるのに、何で○○○は死んでしまったんだろうね。すごく理不尽だよね。だったらさぁ。
こんな世界、滅びればいいのに。
ねぇ?」
まさにその通りだ。何も感じなくなってしまった僕も。悲しみと怒りはまだ感じられるから。
もう、いいや。こんな世界、壊れてしまえ。
僕の気持ちを微塵も察してくれなかった君たちと、僕を理解してくれたあの人。どっちにつくかなんて明白でしょう?それに、あの人は僕に手までかしてくれる。
「君はだまされたんだ!今、目を覚ましてやるからな。」
僕はもう一度笑った。かつての仲間が馬鹿らしい。僕自ら決めた道を、ねじ曲げようだなんて。君の信念を変えさせるぐらい、僕の信念を変えるのは難しいということを、君は理解しているのだろうか。
向かってくるかつての仲間へ、攻撃の合図を出した。まぁ、僕は君がいつも言うように、自分の信念を貫くだけさ。
作品名:裏切りのbelief 作家名:こたつ